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2件
浄瑠璃を読もう
著者 橋本治 (著)
江戸時代に隆盛した一大文学ジャンル浄瑠璃。その登場人物は驚くほど現代人に似ている。『仮名手本忠臣蔵』『義経千本桜』から『冥途の飛脚』『妹背山婦女庭訓』まで、最高の案内人とともに「江戸時代的思考」で主要作品を精読。「お軽=都会に憧れてOLになった田舎娘」など、膝を打つ読み解きが満載。浄瑠璃の面白さを再発見!
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浄瑠璃を読もう
2012/11/15 09:59
私たち読者の蒙を徹底的に啓いてくれる
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
「あまでうす」などと名乗っているくらいだから私は西洋の音楽が大好きで、とりわけモザールのオペラなどを見聞きしていれば上々の気分なのですが、それよりも好きなのがなにを隠そう浄瑠璃なのでありまする。
浄瑠璃、すなわち三味線の調べに乗って太夫が「語る」江戸時代の音曲、あるいは歌舞伎の下座音楽に耳を傾けることが出来れば極楽極楽で、あとは何も要らないと断言する著者には我が意を得た思いでした。
著者によれば、そもそも日本の音楽はメロディラインではなく「拍子」を軸にしているので、例えば人形浄瑠璃の三味線と太夫の語りも(小澤征爾の死んだ音楽のように縦と横の線を顕微鏡的に合致させることなく)それぞれが勝手に演奏しているのに、結果としてなぜだか1つになっている。そして「この本来バラバラであるはずのものが、1つになっているというスリリングなところが、日本の伝統芸能の妙味なのだ」とあざやかに喝破しています。
もちろんこの本は「浄瑠璃を聴こう」ではなく「浄瑠璃を読もう」なので、「仮名手本忠臣蔵」「義経千本桜」「菅原伝授手習鑑」「本朝廿四孝」「ひらかな盛衰記」「国性爺合戦」「冥途の飛脚」「妹背山女庭訓」という本邦の代表的な人形浄瑠璃(及び歌舞伎)作品を文学テキストとして深く読み込み、その解釈と鑑賞について私たち読者の蒙を徹底的に啓いてくれるのですが、それはそれ、本書をつらつら読んでのお楽しみということで。
浄瑠璃を読もう
2019/10/07 21:33
歌舞伎・文楽を学ぶためのバイブル
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「浄瑠璃や歌舞伎が難しいいいましても、日本語でやってんのやさかい、ほんまもんを観ればわかってくるもんなんですな」とは米朝師の仰せ。とはいえなかなか観にいけないときには、本書はいかが。文楽、歌舞伎のドラマツルギーがすっきりと理解できます。浄瑠璃の「脚本が古い」かどうか、21世紀を生きる江戸時代人・橋本治の案内でぜひご確認ください。むちゃくちゃ勉強になります。特に、おかるの解釈なんか…。まだならぜひ!橋本治さんは、一時期「新潮」「芸術新潮」「考える人」三誌同時に連載されていました。休む間もなく書き続けて下さり、『ひらがな日本美術史』全7巻『浄瑠璃を読もう』など、たくさんの名著を残して下さいました。ご冥福をお祈りします。