電子書籍
ビニール傘
著者 岸政彦
侘しさ、人恋しさ、明日をも知れぬ不安感。大阪の片隅で暮らす、若く貧しい“俺”と“私”(「ビニール傘」)。誰にでも脳のなかに小さな部屋があって、なにかつらいことがあるとそこに閉じこもる――。巨大な喪失を抱えた男の痛切な心象風景(「背中の月」)。絶望と向き合い、それでも生きようとする人に静かに寄り添う、二つの物語。
ビニール傘
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電子書籍ビニール傘
2023/10/03 08:50
格安の町に住む貧困の男女の恋
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
回転寿司が1皿90円、パチンコが5玉1円と北新地はリーズナブルですね。低賃金で働く俺と美容師見習いの私、それぞれの彼女彼氏とのわかれが切ないです。
紙の本ビニール傘
2017/03/01 20:21
人は1人だと認識する
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:真太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ビニール傘は、今の若者の生態を表現して一人から二人へとなるも、さほど変わらない日々を送る無機質さが悲しい。背中の月は逆に二人から一人になる、普通に出会って結婚していた矢先の悲劇。普通の幸せすら高望みなのかとこちらも切ない。
紙の本ビニール傘
2018/01/23 11:10
とりとめもなく続く…
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kaoriction - この投稿者のレビュー一覧を見る
コンビニで売ってる五百円のビニール傘。
アナタが手にしたその傘は、誰のもの?
何処で買ったの?
どこにでもある、誰もがひとつは持っている、小さな透明のビニール傘。
同じ街、似たような「俺」たち「私」たち。「彼女」に「彼」。俺は彼だし、彼女だし、私は俺だし彼でもあって彼女でもある。
誰が誰の傘を差していたとしても「透明な膜が俺たちを包む」。
安っぽい傘で自分の人生を守っているの?
*
本当はあの犬のように何かに守られながら、囲まれながら死にたかったのに、彼女はひとりで死んだ。
とりとめもなく続く私たちの人生。
一体、本当は誰のもの?
*
松田青子『スタッキング可能』をシビアでダークにした感じに思えた。鬱屈とした息苦しい感じ。
併録の『背中の月』もモヤモヤ、ムズムズ感が残るというか。社会学者の著者ならではの視点なのかな。
*
みんなのココロにビニール傘なんていらない日が来ることを願うばかりだ。
*
第156回芥川賞候補作。