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2件
セックスボランティア(新潮文庫)
著者 河合香織
「性」とは生きる根本――。それはたとえ障害者であっても同じことだ。脳性麻痺の男性を風俗店に連れていく介助者がいる。障害者専門のデリヘルで働く女の子がいる。知的障害者にセックスを教える講師がいる。時に無視され、時に大げさに美化されてきた性の介助について、その最前線で取材を重ねるうちに、見えてきたものとは――。タブーに大胆に切り込んだ、衝撃のルポルタージュ。
セックスボランティア(新潮文庫)
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セックスボランティア
2008/08/29 20:58
晴れない心
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
セックスボランティア 河合香織 新潮文庫
今までに書店で何度か見かけて読もうかとしたのですが、タブー視されている分野であるために躊躇して手に取れませんでしたが、今回古本屋さんで目について読み始めました。健常者も障害者も同じですということが書かれています。この本では、障害者として、身体障害者と知的障害者について記述されています。
障害者が、「同情」は「屈辱」になると語っています。このタイトルの本で、障害者自身の体験談として、「盧溝橋事件」とか「日中戦争」「大連」「敗戦後の満州からの引き上げ」というような単語が出てくるとは予想もしていませんでした。施設入所中の男性69歳の経歴です。障害者として生まれ満州へ、健常者だった兄は戦死、長崎県佐世保へ帰国。障害者の外見だけでその人の経歴を判断してはいけないと思いました。障害者ばかりが10人以上集められた病室は「人間の倉庫」のようだった。健常者にはわからないかもしれないけれど、健常者には「明日は我が身」という気持ちはもっていてほしいとわたしも思います。
セックスボランティアについては、介護職・看護職の個人が自発的意思で行うものから始まって、福祉団体によるもの、営利会社によるもの、オランダの組織によるものと広がりながら現場からの取材で得た報告が綴られていきます。いずれも共倒れの危機をはらんでいます。支える人たちの姿勢からは、人間は頭の中をからっぽにして、やりたいこと・やるべきだと思うことをやれば、できるということがわかります。あれやこれや手を尽くして障害者の性行為を助けていくのですが、最終的には本人たちの「飽きた」「めんどくさい」「手を握るだけでいい」という態度に落ち着いていきます。
読み終えて本を閉じたときに心は晴れませんでした。
セックスボランティア
2016/04/06 10:22
タブーにふれることで
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
障がい者の性に関しては、話してもいけない書いてもいけないという空気が漂っている。本書が多くの人に読まれることによって、この問題を考えるいい機会になるかもしれない。