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10件
地球星人(新潮文庫)
著者 村田沙耶香
恋愛や生殖を強制する世間になじめず、ネットで見つけた夫と性行為なしの婚姻生活を送る34歳の奈月。夫とともに田舎の親戚の家を訪れた彼女は、いとこの由宇に再会する。小学生の頃、自らを魔法少女と宇宙人だと信じていた二人は秘密の恋人同士だった。だが大人になった由宇は「地球星人」の常識に洗脳されかけていて……。芥川賞受賞作『コンビニ人間』を超える驚愕をもたらす衝撃的傑作。(解説・小林エリカ)
地球星人(新潮文庫)
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地球星人
2022/08/28 14:55
異常なのに共感
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:悟り小僧 - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公・奈月が「ポハピピンポボピア星人」として昇華されていく過程は、異常であり、狂気である。
しかし、その根底にはいたって一般的で共感可能な感情がある。家族からの疎外感や、変えようのない辛い現実に対して、何とかして我慢して「生き延びる」というのは誰しも経験のあることだろう。ただ彼女の場合、辛さの度合いが甚だしく、我慢思考が少しばかり強かっただけである。
そう考えると、「ポハピピンポボピア星人」を生んでいるのは、社会におけるありふれた理不尽や、欺瞞や、抑圧なのかもしれない。
おそらくそうした「はみ出しもの」としての「宇宙人」が生まれることは、避けられない。本質的に問題なのは、「宇宙人」を「地球星人」へと教化しようとし、あるいは排除しようとすることである。私たちが真に多様性ある社会を信奉するならば、「宇宙人」を「宇宙人」として社会に包摂するような営みが求められるのではないだろうか。
地球星人
2023/01/20 07:59
なんとも言い難い
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:杉野 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後の最後に真っ当な地球人が出てきて自分もそちら側の人間であったと引き戻されました。もし最後が違っていれば地球人に戻れなかったかもしれません。
地球星人
2022/04/22 20:51
村田ワールドの極北を堪能せよ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hachiroeto - この投稿者のレビュー一覧を見る
小学生同士のセックスから狂気に満ちたラストまで、おそらく現時点で村田沙耶香「最狂」の一冊。地球という「人間工場」になじめない主人公のすさまじい暴走に、あなたはついてこられるか。