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6件
死刑でいいです―孤立が生んだ二つの殺人―(新潮文庫)
著者 池谷孝司/編著
2005年、大阪で若い姉妹が惨殺された。犯人の山地悠紀夫はその5年前、実母を殺し、少年院で矯正教育を受けていた――。裁判で山地は「さっさと死刑にしてくれ」と主張。2009年、一切の真相を語ることも、反省することもなく絞首刑となった。享年25。その短い人生でなぜ3人も殺めたのか。彼は化け物か、それとも……。緻密な取材で事件の深層と凶悪犯の素顔に迫る、衝撃のルポルタージュ。(解説・あさのあつこ)
死刑でいいです―孤立が生んだ二つの殺人―(新潮文庫)
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死刑でいいです 孤立が生んだ二つの殺人
2013/10/30 13:39
たくさんの「なぜ」
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
共同通信の社会部記者2人が見ず知らずの姉妹を惨殺した凶悪事件の犯人を追いかけたルポ。事件記者は日々発生する事件・事故を追いかけることだけで疲れ果てる。聞きかじりしたわずかな捜査情報を「続報」として追いかけるのに精いっぱいだ。事件のその後に関心を抱いたとしても、裁判になれば、そこには別の担当記者がいる。でも、時に連載という形で事件を追いかけ、すぐれたルポが生まれることが時よりある。この本もそうした1冊だ。
私自身、この事件はこの本を読むまで記憶から消えていた。読みながら「そんな凄惨な事件があったな」との印象をわずかに蘇った程度だった。つまり、そんなに誰もが知る有名な事件ではない。だが「死刑でいいです」と言い、自分の本心を明かさぬまま犯人が死刑が執行された事件は、被害者の遺族はもちろん、実は何も私たちの社会に還元されないまま消え去っていったという思いが残る。そして、犯人の生い立ちや、事件までの経過からは多くの私たちが考えなければいけない「なぜ」が残る。ぜひ、読んでもらいたい1冊だ。
死刑でいいです 孤立が生んだ二つの殺人
2017/10/27 23:50
救い
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まきの - この投稿者のレビュー一覧を見る
こうして一つの命が救われることなく消えていくのだと思うと、ぞっとしました。
生まれた時から死刑になるまで、一つも救いがなかったというと、そうではないのかもしれない。
彼自身が自ら選択した部分もあったと思います。殺人など。
ただそれでも、彼をどうにかして救えなかったものだろうかと、思ってしまいます。
来世があるのなら、心から愛されて幸せに生きられる人生をただ願うばかりです。
死刑でいいです 孤立が生んだ二つの殺人
2019/09/19 19:29
思考がループする。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ライディーン - この投稿者のレビュー一覧を見る
結局、何なんだろうか。
障害と犯罪を結び付けて考えてはいけないのはわかる。
しかし、被害者側すれば「そんな事は関係ない、反省の概念すら無い人間から被害を受け、持って行きようのない気持ちは何処に向ければ。」と言う感情があるのは至極当然である。
しかしながら、加害者側も生い立ちを考慮するとある意味で被害者とも言えるが、やはりそれは別問題である。
と、行ったり来たりの考えが巡る。
考えれば考えるほど、結局最善策は見当たらず、思考は只々ループするだけだが、当然放ってはいけない問題。
自分の周囲で類似した現実が無いだけで、殆どの人は実感がない現実。
難しい。