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6件
ドナウの旅人
著者 宮本輝
夫を捨てて、突如出奔した母・絹子。「ドナウ河に沿って旅をしたい」という母からの手紙を受け取った麻沙子は、かつて五年の歳月を過ごした西ドイツへと飛ぶ。その思い出の地で、彼女は母が若い男と一緒であることを知った。再会したドイツの青年・シギィと共に、麻沙子は二人を追うのだが……。東西ヨーロッパを横切るドナウの流れに沿って、母と娘それぞれの愛と再生の旅が始まる。
ドナウの旅人(下)
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2024/07/04 18:11
意外な結末
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投稿者:なお - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻を読んでいる時は、なかなか登場人物にも感情移入出来ず、途中、ダラダラと長いと感じてしまう箇所もあり、こんな調子で下巻を読み終われるのか、と思ったりしたが、結果として下巻の方が面白かった。
黒海に向けて延々と続く旅、次から次へと現れる人々。その過程で、登場人物たちの、それまでは揺れ動いていた意思のようなものが、次第に確たるものへと固まって行く。
それだけに、絹子の死は思いがけなく、唐突で哀しく思われた。
あれだけ長い物語なのに、終わりはとてもあっけなく、残された3人のその後に関する詳しい描写もない。しかし、それがかえって良かったのかも。
当時の東欧諸国がかかえる問題など、いろいろなことが盛り込まれた物語だった。
時を経てなお、大国は他国への侵略を繰り返している。世界中の衆人環視のもとで。
なぜ人の国を欲しがるのか、という踏みにじられる人々の叫びは、過去のものではない。
そういうことも、改めて感じた。
人間はみんな同じ。求めるものは幸福なのだ、という長瀬の言葉が胸に響いた。
2024/06/29 05:00
時代を感じる
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なお - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前から気になりつつも、なかなか読むことの出来なかった作品。
宮本輝氏の著書は《錦繍》しか読んだことがなく、《ドナウの旅人》もそのうち…と思いながら、長い時間が過ぎてしまった。
朝日新聞での連載が始まったのが1983年だというから、いろいろなことが現在とは違い、読んでいるとあちこちで時代を感じてしまう。
通信手段も限られているから、電話1本かけるにも電話ボックスを探したり、どこかで借りたり。
メールする訳にも行かないから手紙を書いたり、ついには電報などという手段も使わなければならない。
ほんの数十年のあいだに、人々の暮らしはずいぶん様変わりしたものだと改めて思う。それは万国共通なんだなと。
そして、冷戦時代の東欧。それまでの長い歴史とそれ以後に起きた様々な出来事を思うと、何とも言えない気持ちになってしまう。
これから下巻を読むので、4人のドナウの旅がどう決着するのか、しっかり見届けたいと思う。
正直なところ、4人の誰にもあまり感情移入出来ないのが残念。一番好きな登場人物はペーターで、彼の今後が気になる。
ドナウの旅人 改版 下
2022/09/25 16:56
旅の続き
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投稿者:わかめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
上巻に続く下巻ということで、読んだ。人間の心の揺れも描写されて、いい感じだった。ちょっとミステリーっぽくて、楽しむことができた。最後が、あっけない感じがした。