- みんなの評価
1件
文天祥
著者 梅原郁
南宋末、フビライ率いるモンゴル軍が南下し、王朝は危殆に瀕していた。政治の中枢は腐敗と混乱のなかにあったが、ひとりの秀才が敢然と挙兵し、防禦にあたる。文天祥その人である。だが大勢に利はなく、あえなく囚われの身となり、その間に宋は三百年の歴史に幕を下ろすこととなる。天祥は、フビライから宰相就任要請があるもこれを固辞。五言古詩「正気の歌」を遺してついに刑場に果てる――。反時代的なまでに儒教道徳に忠実で、純なる人間性を貫いた生涯。それは、人間のひとつの極限をわれわれに突きつける。宋代史研究の泰斗が厚い考証を基に天祥の実像を描いた名著。
文天祥
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
文天祥
2022/09/25 22:35
クビライをして感嘆せしめたほどの御仁
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
幸田露伴も児童向けの短篇の
主題として取り上げている、
宋の時代の政治家であり軍人だった
人物についての評伝です。
冒頭の臨安の町の描写や
科挙制度の説明なども、
中国史に関心のある方なら
浅からぬ興味をもって読めるはず。
藤田東湖の詠んだ「正気の歌」の
原作者だった「大人」の生涯を、
端正な日本語文で御堪能あれ。