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2件
ノラや
著者 内田百けん 著
ふとした縁で家で育てながら、ある日庭の繁みから消えてしまった野良猫の子のノラ。ついで居つきながらも病死した迷い猫のクルツ――愛猫さがしに英文広告まで作り、「ノラやお前はどこへ行ってしまったのか」と涙塞き敢えず、垂死の猫に毎日来診を乞い、一喜一憂する老百けん先生の、あわれにもおかしく、情愛と機知とに満ちた愉快な連作14篇。
ノラや
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ノラや 改版
2020/07/29 10:50
内田百けん氏の愛猫ノラについて綴られたエッセイ集です!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『冥途』や『阿房列車』などの作品で、大正から昭和にかけて活躍された夏目漱石門下の小説家であり、随筆家であった内田百けん氏の作品です。同氏は、幻想的な小説や、独特なユーモアに富んだ随筆で名を馳せた人物で、同書は、ふとした縁で家で育てながら、ある日庭の繁みから消えてしまった野良猫のノラについて綴られたエッセイ集です。愛猫さがしにために英文広告まで作り、「ノラやお前はどこへ行ってしまったのか」と涙堰きあえず、垂死の猫に毎日来診を乞い、一喜一憂する老百けん先生の、あわれにもおかしく、情愛と機知とに満たち愉快な連作14篇が収録されています。収録作品は、「彼ハ猫デアル」、「ノラや」、「ノラやノラや」、「千丁の柳」、「ノラに降る村しぐれ」、「ノラ未だ帰らず」、「猫の耳の秋風」、「ネコロマンチシズム」、「クルやお前か」、「泣き虫」、「カーテル・クルツ補遺」、「垣隣り」、「クルの通ひ路」、「ノラや」となっています。
ノラや 改版
2023/03/26 09:59
内田もペットロスに
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トマト - この投稿者のレビュー一覧を見る
ここまで、ノラという猫がいなくなってしまった飼い主は崩れてしまうものなのか、と驚きました。ペットロスは時代を超えて苦しい感情なのですね。そこまで、内田はノラをかわいがっていた証拠。
あちこちで、ノラに関する情報が内田のもとに寄せられるが、どれも空振りに終わる。その度に右往左往してしまう。
ちょっと、気になるのが、自分自身でその情報を確かめに行かず、妻に行かせている。自分でなぜいかないのか?そんなに心配なら自分で、と思いうのだが。妻とは自分の思い通りに動くものだと考えているのか。それとも、もしもノラが死んでいるのを確かめることになったら恐ろしいので、自分ではいけないのか。そこが違和感を感じる所でした。