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リバタリアニズム アメリカを揺るがす自由至上主義
著者 渡辺靖 著
アメリカ社会、とりわけ若い世代に広がりつつあるリバタリアニズム(自由至上主義)。公権力を極限まで排除し、自由の極大化をめざす立場だ。リベラルのように人工妊娠中絶、同性婚に賛成し、死刑や軍備増強に反対するが、保守のように社会保障費の増額や銃規制に反対するなど、従来の左右対立の枠組みではとらえきれない。著者はトランプ政権誕生後のアメリカ各地を訪れ、実情を報告。未来を支配する思想がここにある。
リバタリアニズム アメリカを揺るがす自由至上主義
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リバタリアニズム アメリカを揺るがす自由至上主義
2019/05/01 00:11
米国の底流をなすヒッピー文化?
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:せきた - この投稿者のレビュー一覧を見る
自由市場・最小国家・社会的寛容の重視、人類を政治家から解放せよというスローガンと聞くと、リバタリアニズムが真っ当で寛容的な思想に映るかもしれないが、飲酒、ドラッグ、売春、銃規制に寛容となればヒッピーのユートピアを連想させるし、社会保障、最低賃金に懐疑的と聞けばありもしない確立された個を志向する求道者の思想を彷彿とさせる。
しかし、人工国家米国の「建国の理想」に刻まれた正統な出自の思想なのだろう。沖縄の「沖縄独立論」も然りか。現地ではそこには決して夢物語でない現実味があり、社会集団の内在的な論理に多大な影響を及ぼすに違いない。
リバタリアンの考える目指すべき自由社会の障害は、国家や政治が過度に擬人化して個性を強要したり、国家が経済活動をコントロールできるとする社会工学的発想であって、根本に人間中心主義への懐疑を感じる。理性万能の人工・実験国家にあって、人間の傲慢を戒めることが真の自由という人間尊重につながることに逆説的なものを感じた。
なお、著者の記述はドキュメンタリーTV番組のように現代米国を断章するルポルタージュで、読者の興味をひくのが巧み。併せて岩波新書の「アメリカン・デモクラシーの逆説」もお薦め。
リバタリアニズム アメリカを揺るがす自由至上主義
2024/03/09 18:34
わかりやすい
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
リバタリアニズムについて、わかりやすく解説されていて、よかったです。オバマでもトランプでもない流れに、注目したいです。
リバタリアニズム アメリカを揺るがす自由至上主義
2019/02/17 21:03
まあまあ読めるよ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ともクン - この投稿者のレビュー一覧を見る
リバタリアニズムを齧るにはお手軽な本だ。リベラリズム、保守の立場からの論調には安易に与せず、リバタリアニズムの今日的な現況をジャーナリスティック、ドキュメント風に描いている。リバタリアニズムに関する哲学論や政治論についての深い考察や批評はないに等しいが、その分、新鮮に感じる。最近のリベラルの凋落ぶり、逆に保守の多面的な隆盛(ポピュリズムやトランプ政治など)に目を奪われがちだが、リバタリアニズムを切り口にした、爽やかさな印象の残る新書だった。