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7件
殷 ―中国史最古の王朝
著者 著:落合淳思
殷王朝は中国史最古の王朝である。紀元前一七世紀頃から紀元前一〇四六年まで、約六〇〇年続いたとされる。酒池肉林に耽る紂王の伝説が知られているが、この王朝にまつわる多くの逸話は、史記のような後世に編まれた史書の創作である。殷王朝の実像を知るには、同時代資料である甲骨文字を読み解かねばならない。本書は、膨大な数の甲骨文字から、殷王朝の軍事から祭祀、王の系譜、支配体制を再現する。
殷 ―中国史最古の王朝
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殷−中国史最古の王朝
2015/09/29 22:58
同時代資料の大切さ
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:タヌキネコ - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者は甲骨文字の資料研究から、後代の「歴史書」のなかに架空の王統が組み込まれており、時間とともに「あらまほしき)昔が物語られていることとを丁寧に語っています。
また占いなどで吉兆が得られるよう卜骨に細工が加えられていたこと、人の命の軽重の大きさなど、当時の社会自体の不思議な様態についても書かれています。現代の「平等」にもいろいろな問題がありますが、占いのために首を落とされたり、主の馬車を引くため一緒にそのまま埋められたりはしないことに、少し感謝したいように思います。
この時期の青銅器の魔的な魅力はこうした社会だからこそとも思われますが・・
殷−中国史最古の王朝
2022/02/14 20:54
最新研究による殷王朝
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いて座O型 - この投稿者のレビュー一覧を見る
近年の中国古代史研究の進展には、目を見張るものがある。
史記に依拠した研究から、考古資料および同時代や直後の時代の文字資料に依拠した、より史学的な研究の進展で、殷という国も、これまでと違った様相と歴史的推移が、なんとなくうかがい知れるようになってきており、そういう新しい知見を盛り込んだ概説書。
より一層の研究の進展を期待せずにはいられない、充実した内容で、全く新しい中国史が描かれている。
殷−中国史最古の王朝
2018/08/02 11:50
中国古代の王朝殷はそれを倒した周王朝が様々な中傷を残したためにマイナスイメージが強くなってしまいましたが、甲骨文字という史料を残したために徐々に実像が明らかに。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代中国について議論されることの多い昨今ですが、時には古代に目を向けてみてはいかがでしょうか。古代中国の実像を探ったものです。壮大な歴史の一端を感じ取れるかと思います。本書と併せて中国古代に関連する新書を読むと、楽しみがさらに増すかもしれません。佐藤信弥著『周―理想化された古代王朝』(中公新書)、鶴間和幸著『人間・始皇帝』(岩波新書)、渡邉義浩著『三国志』(中公新書)など。