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17件
殺人鬼フジコの衝動
著者 真梨幸子
一家惨殺事件のただひとりの生き残りとして、新たな人生を歩み始めた十歳の少女。だが、彼女の人生はいつしか狂い始めた。またひとり、彼女は人を殺す。何が少女を伝説の殺人鬼・フジコにしてしまったのか? あとがきに至るまで、精緻に組み立てられた謎のタペストリ。最後の一行を、読んだとき、あなたは著者が仕掛けたたくらみに、戦慄する! 50万部突破の大ベストセラー、ついに電子書籍化!
2015年 尾野真千子主演ドラマ原作。
殺人鬼フジコの衝動
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殺人鬼フジコの衝動
2015/06/26 01:33
入籠構造
6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:藤枝 雅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
はっきり言って、面白い。
このような構造の小説は、もちろんたくさんあるのだが、上手く料理していると感じた。
第一章から第二章は読むのがツラくなってくるような内容だった。あまりにも主人公の置かれている境遇が可哀想で仕方なかったのである。
第三章から語りが三人称に変わったことで違和感を覚えたのであるが、それも結末への伏線だったことがわかる。それ以後も変わらず小学生の人間関係の難しさ、厭らしさなどをうまく書いている。
たしかに、殺人へ至る心理描写が少なく、飛躍している感はあるが、フジコの場合は理知的な計画殺人ではなく、衝動的な犯行なのだからこんなものだろう。そのわりに、殺した後の行動は非常に冷静でびっくりするのだが…
あとがきが無かったら、正直消化不良に終わっていたような気がする。第九章の後に書かれている「あとがき」および最後の1ページが、この作品を傑作たらしめていると言える。個人的には、最後の1ページを読んだ瞬間、鳥肌が立った。ただ、文庫の帯に「あとがきまでが物語です」などと書かれると、興醒めだ。「はしがき」で本編とは別の作家が登場している時点で、誰もが「あとがき」まで読むに決まっている。(そうしないと結末がわけわからないからね)にもかかわらず、帯で宣伝するのはどうだろう……それだけが不満である。
2016/01/03 02:27
やられた!
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:無名さん - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白かったが、やられた!と思わされた。
何から何までやられた!
あとがきまで、むしろあとがきをしっかり読んでいただきたい。
殺人鬼フジコの衝動
2022/10/15 01:15
生涯
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
1人称という小説の形式を生かした作品。
「人間」と「殺人鬼」の間にあるグラデーションを
超えてしまう瞬間のようなものがいくつかあって、
とても読ませてくる。
小学生時代が少し長い感じはあったけれど、
主人公の境遇に同情しすぎるでもなく、
殺人鬼の思考に嫌悪しすぎるでもなく、
読み物としてのバランスもとてもよかった。