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8件
奇跡の人 The Miracle Worker
著者 原田マハ
盲目で、耳が聞こえず、口も利けない少女が弘前の旧家にいるという。明治二十年、教育係として招かれた去場安は、その少女、介良れんに出会った。大きな苦難を背負った少女と、人間の可能性を信じて彼女の教育に献身する女教師、ふたりの長い闘いがはじまった――。『楽園のカンヴァス』『暗幕のゲルニカ』の著者、渾身の感動傑作!
奇跡の人 The Miracle Worker
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奇跡の人
2021/07/10 21:13
心に残る一冊!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いちご - この投稿者のレビュー一覧を見る
キワ、れん、安という3人の主要人物の成長が描かれていて、それぞれが素敵な人で、奇跡の人だと気づきました。物語の初めから終わりまで、ハラハラする展開から思わず涙する展開まで、ギューっと詰め込まれた本だと思います。感情が忙しいです。(笑)温かい気持ちにもなり、優しい気持ちにもなる1冊です!!
奇跡の人
2023/09/11 18:32
言葉をしるということ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヘレンケラーとサリバン先生との物語を、二人が出会った時代と同じくする明治期に、場所を津軽に設定して展開した物語。三重苦の少女を若い女性教師が向かい合うのだが、当時のアメリカとは異なる日本の家族制度や障碍者への強い拒絶と差別を含めてストーリーが進むことが特徴。三重苦を乗り越えようとした人が奇跡の人ではなく、彼女に寄り添い秘められた才能を開花させた人が奇跡の人だ。決められた社会での枠を意志をもって壊すという奇跡と、言葉をもって、伝えたい思いを、伝えたい相手に伝えるという奇跡が、見事に描かれている。
奇跡の人
2021/05/22 21:16
津軽が舞台のわけ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:第一楽章 - この投稿者のレビュー一覧を見る
の教師役として呼ばれた当時としては珍しい帰国子女の去場(さりば)安。この時点で、筆者が描こうとしているストーリーは察しがつくと思います。
ただ、舞台は明治時代の青森。伝統、というよりも因習というべきか、そうしたものに支配された環境で、去場は苦闘します。れんは、長男の縁談に障るという理由で座敷牢に押し込められ、女中たちからは陰湿ないじめに遭っています。こうした私宅監置は、この時代・この地域に限ったことではなく、戦後まで制度として認められていたものでした。こうしたことから、ヘレン・ケラーとアン・サリバンの物語がぐっと身近でリアルなものとして感じられます。
もう一つ、筆者が青森を舞台に選んだ理由に、三味線があるのだろうと思います。盲目の人の生きる術としてのボサマ(津軽三味線の奏者)やイタコが取り上げられています。れんと年齢の近いボサマのキワが登場することで、この物語は単なる本歌取りではなくなります。れんに”トモダチ”という存在が生まれます。
この本は同僚から教えてもらいました。お昼休みのおしゃべりの、何かの拍子に(美術館の話だったかな)原田マハさんの話になったんですよね。あちらは、わたしお気に入りの『楽園のカンヴァス』を買って読んでくれましたし、何だかサン・ジョルディの日に本を交換したみたいですね。素敵な本を紹介してくれたことに感謝。