- みんなの評価
1件
月蝕島の信者たち
著者 渡辺優(著)
後藤は大学サークルの女友達・金子とネットで活動する新興宗教BFHを立ち上げ、大バズりした。礼拝施設を建設するためのクラファンツアーを実施し、岩手の無人島・月蝕島に重課金信者を集める。上陸翌日、信者のYouTuberが首なし死体となって殺され、その後も次々と信者が殺されていく。犯人はいったい誰なのか? 船は3日後まで来ない。極限状態で信じるべき神の存在とは? そして最後は、誰も――。『私雨邸の殺人に関する各人の視点』で話題となった探偵不在のクローズドサークル・ミステリー、再び!
月蝕島の信者たち
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
2025/04/16 13:10
クローズドサークルミステリ
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
胡散臭い新興宗教団体の高額支援者のみが参加出来る、無人島での礼拝ツアー。金に目が眩んだ投資詐欺前科者たちが運営する団体と、救いを求める信者たち。神聖なるイベントを襲った連続殺人事件が意味するものとは何なのか。人の心に巣食う闇を描いた、探偵不在のクローズドサークルミステリ。
登場人物たちのキャラが濃く、島に着く前からネタの宝庫。不穏な語りが想像力をより刺激し、心地好い昂揚感で月蝕島に降り立ち、そのまま物語に吸い込まれた。
隔絶された環境も影響し、時に信仰で、時に悪口などの共感で生まれる連帯感に飲み込まれていく。その一体感がひたすら不気味で、恐ろしかった。
突き詰めて、思い詰めてしまった人たちの集まり。自分はこれとは違うな、と思った一瞬後に、果たしてそうだろうか?と自問自答したくなるような、小さな共感を全キャラに感じた。特に後藤の、自分の考えに引きながらも常に天秤にかけ、揺れる思考がとても面白かった。
あり得ないものまで信じてしまいそうになる予測不可能の展開に魅せられるミステリ。