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14件
旅行者の朝食
著者 米原万里 (著)
その名を聞いただけでロシア人なら皆いっせいに笑い出す「旅行者の朝食」というヘンテコな缶詰や、数十年前たった一口食べただけなのに今も忘れられない魅惑のトルコ蜜飴の話、はたまたロシアの高級輸出品キャビアはなぜ缶詰でなく瓶詰なのかについての考察や、わが家を建てる参考にとはるばる神戸の異人館を見に行くも、いつのまにか食べ歩きツアーになっていたエピソードなど、ロシア語通訳として有名な著者が身をもって体験した、誰かに話したくなる食べ物話が満載です!
旅行者の朝食
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旅行者の朝食
2008/02/07 21:16
極上の異文化エッセイ
17人中、17人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mikimaru - この投稿者のレビュー一覧を見る
語学で身を立てようと思っていた時期がある…と書くとかっこよいが、単に外国や異文化へのあこがれをいだいていた時期が長かっただけだ。だがそんな関係で、本としてわざわざ手にとることはまれでも、米原さんのように有名な通訳者は、語学雑誌などで文章をよく目にする機会があった。
最近になってこの本を手にしたのは、文庫本でありかさばらないこと、そして著者のように渡航の多い人が朝食に関するエッセイを書いたのならさぞかしおもしろいだろうと勘違いをしてしまったことによる。あとから思えば嬉しい誤算で、これは朝食エッセイではなかった。食べものという広くゆるいくくりになった異文化体験であり、著者の半生だ。
子供のころにチェコスロヴァキアで食べていたトルコ蜜飴から、ロシアのハルヴァに話が飛び、さまざまな国や地方の菓子(ヌガーやポルボロン)に世界が広がって、ついには日本の牛皮〔ぎゅうひ、または求肥)や落雁まで話がまとまってしまう「トルコ蜜飴の版図」は圧巻だ。
挿絵の見た目はネイティブ・アフリカンのちびくろサンボがホットケーキを食べるおなじみの話。わたしは疑問をいだかずに読んでいた気がする。だがトラがいるのはアジア大陸でホットケーキを食べるのはアメリカの風習、いったいどこの話だと言われると、なるほどと思う。
わたしがもっとも楽しく読んだのはP.249「叔父の遺言」だ。体調が思わしくなく、食事も思うようにとれない叔父さんが、姪(著者)に食べ物の話をする。一族に共通する食い道楽をふまえてそれをユーモラスに書く米原さんだが、わたしはその叔父さんの気持ちがよくわかる。食べるために生きていると思うほど食い意地がはっているわたしは、実際にこの本を読んだとき、病院で絶食の直後だった。どんな状況でも、持ちこむ本は料理や食べるものだ。それは別につらいことではなかった。
さて、最後にこの本のタイトルのことだが:
「旅行者の朝食」という単語を耳にするだけで、なぜロシア人たちが笑うのか…。それはぜひ読んでいただきたい。
旅行者の朝食
2017/03/13 20:32
メンデレーエフとウォトカの関係って?
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雲絶間姫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
元素周期表で有名な科学者メンデレーエフがウォトカと関係?はロシアらしいネタですね。あとはタイトルにもなっている「旅行者の朝食」のオチも面白いです。
グルメな米原万理だけあって、おいしそうな話てんこ盛りです。
2015/08/29 01:04
異文化・食文化・笑文化?
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:フフラム - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者がロシア語通訳者なので、ロシアを中心に書かれていて、異文化を感じられる作品なのはいつも通りで安心して読めました。この本は「食」がテーマになっているので、食べてみたい!はもちろん、なるほどと感心したり、通訳の裏話に目が点になったり、いろいろ楽しめます。
でも、一番は、この本は笑える!って事でしょう。
オススメです。ぜひ一読を。