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死神の精度
2008/06/30 20:01
死神はひとりではない。
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
死神の精度 伊坂幸太郎 文春文庫
6作品です。
「死神の精度」読み進めるうちになんとなくオチがわかってくる。ところが、読み終えてみると自分の予想したオチとは違っていました。残念。
「死神と藤田」日本語の構造について考えた。いや日本語でなくともいい。外国語でも記号でも。この作品には表記の構造について考えさせられた。
「吹雪に死神」死神物語の背景は何だろう。作者はなぜ「死神」を選んだのか。だれかはだれかの死を望んでいる。必殺仕置き人とか仕事人みたいだ。死神は何でもできる。やはり神だ。しかもこの物語では死神が複数いる。読み終えた。わたしは、密室殺人事件を全員集合して解くという設定が好きではないのですが、この作品にある人物たちの心情交錯のありようは、心にとても重い。
「恋愛で死神」死神=疫病神で、厄病神は空中を飛んでいる。本を読んでいる自分のそばに死神がいるような気になってくる。
「旅路を死神」現実の出来事のようでもある。死神はターミネーターのようだ。容疑者青年は周囲との意思疎通に欠ける。東北の名所に強引に結びつけようとしたきらいあり。
「死神対老女」こういうシリーズはワンパターンに陥りがちだが、多様かつ機敏に変化している。作者の才能と努力を感じる。音楽へのこだわりは何を意味しているのか、最後までわからなかった。作者はどうしてこんなに老人の気持ちがわかるのだろうか。読んでいてうっすらと涙がにじんでくる。文章はどんな世界でもつくることができる。全体をとおして、十分堪能させていただきました。
死神の精度
2019/07/31 21:55
淡々とした仕事ぶりがいい
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
CDショップに入り浸って試聴を繰り返す苗字が町や市の名前の人は死神の可能性が高いらしい。そんな死神の一人である「千葉」さんの仕事ぶりを綴った6篇。最後まで読んでいてなるほどなと思ったのが、この6篇は時間経過の順番にならべられているのだけれど、その時間が想像を遥かに経過していたこと。1作目の女性がどうなったのか気になっていたのだけれど、最後の作品でその答えがわかる、またその最後の作品の女性は実は他の作品に登場した女性だったとかいろんな仕掛けが盛り込まれていて楽しい。「こいつはいいやつだから、やめておこう」と考える死神ではなく、淡々と仕事をこなし「可」と判断する死神なのがいい
死神の精度
2016/05/23 21:16
面白い
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しろお - この投稿者のレビュー一覧を見る
この世界では、病死、自殺以外の人の死は死神によって決められているらしい。しかもたった1週間の調査で。そんなに短い間で決めるなんて何様だ!と思うけれど、そうか、死神も神様だった。でも、神様なのに調査(仕事)をしているとは、何だか人みたいな神様だ。
そんな神様、死神と数人の男女とのそれぞれの物語。
死神は人の死に意味はないと言うし、人があれこれ悩むことを疑問に思う。そう言われると確かにそうかも、人はおかしなことに思い悩んでいるなとは思うけれど、そう簡単には割り切れない機微があるのが人生なのか?それは神様には分からない、人だからこそ分かることなのかもしれない…
なんて考えさせられたり、させられなかったりする一冊。
とにかく、一つ一つの物語が面白い。面白くて温かい。