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9件
悪魔の涙
著者 ジェフリー・ディーヴァー , 土屋 晃
筆跡鑑定人が犯人を追い詰める!
世紀末の大晦日午前9時、ワシントンの地下鉄駅で乱射事件が発生。間もなく市長宛に2 000万ドルを要求する脅迫状が届く。正午までに“市の身代金”を払わなければ、午後4時、午後8時、そして午前0時に無差別殺人を繰り返すという。手がかりは手書きの脅迫状だけ――。FBIは筆跡鑑定の第一人者、パーカー・キンケイドに出動を要請した。息もつかせぬ展開とどんでん返しの連続に心ゆくまで陶酔できるJ・ディーヴァーの逸品! 2000年週刊文春ミステリーベスト10第5位。
悪魔の涙
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悪魔の涙
2002/04/27 06:23
大晦日のワシントンの地下鉄で起った銃の乱射事件。それは、続く戦慄の事件の予告編。やがて市長に届いた脅迫状。市民の身代金はなんと2000万ドル!予告された無差別殺人を止める方法はあるのか?
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くろねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
手がかりは、たった1枚の脅迫状。
その脅迫状から犯人像を割り出すために出動を要請されたのが
パーカー。
でも、彼にとって、それは不本意なことでした。
それによって、離婚した前妻に、子供の養育権を奪われることを
恐れているから。
とはいうものの、事件を引き受けてからのパーカーのお手並みは、
本当に素晴らしいです。
言葉遣い、句読点の打ち方。
そんな些細なことから犯人像を浮かび上がらせていきます。
これは、ちょこっとだけ登場したリンカーン・ライムの仕事の
文書版ですね。
その分析能力は、ライムに勝るとも劣らない。
こういう頭の切れる専門家って、惚れ惚れします。
しかも、仕事一筋でなく、(彼の普段の仕事は、もっと平和な文書の鑑定)
子供をこよなく大事にしているところが、また魅力の1つ。
でも、それは、逆に言うと、弱点ともなりうるのですが…
もう1人の中心的人物が、ルーカス。
FBIの支局長代理。
過去に傷を持つ女性。
でも、そのプロ意識はさすが。
だてに支局長代理をやっていません。
なかなか頭も切れて、パーカーの分析を信頼しています。
4時間ごとに繰り返される無差別殺人。
それを食い止めなければという焦燥。
それを押さえて証拠を分析し、殺人鬼の次なる標的を探し当てようと必死の捜査側。
タイムリミットが切られた中、限られた情報だけを頼りに前に進むのって、
限りなくスリリング。
殺人鬼<ディガー>は、悲しい存在です。
精神を病み、指示を出す男からの、実行中止の指示がないがために
ひたすら、指示通りに殺人を繰り返すなんて。
殺人に対して罪の意識のまるで持てないこういう男を利用するなんて、
まったく、ひどい男もいたものです。
捜査に直接は加わらないものの、ものすごく気に入ったのがケネディ市長。
最初は、保身のために捜査に口をはさもうとする、まぁ、よくあるエライさんだと
思っていました。でも、違っていました。
彼が、市長であり続けたいと願うその理由。
そのために取った行動の中には、ばかげたものもありました。
でも、なかなか伝わってこない捜査の情報を元に動いたにしては、
なかなかたいしたものです。
それに、妻クレアとの関係もとても素敵。これは、ポイント高いです。
それから、素晴らしいケイジ捜査官。
こういう男は、絶対に敵にはまわしたくないですね(笑)
終盤、突如訪れる殺人鬼<ディガー>との対決。
大晦日の花火の下、激しい戦い。
衝撃のクライマックス。
信じられませんでした。まさか、そんな。
要所要所で表れる「3羽のタカ」のクイズが、なんとも象徴的でした。
悪魔の涙
2019/01/12 20:25
最後まで
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初から「え?そうなの?」と思っていたら、最後にまたひっくり返されて、本当に最後の最後までハラハラさせられました。
ラストがハッピーエンドなのもいいところ。
さすがです。
悪魔の涙
2001/06/24 22:34
“悪魔の涙”とは?
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:katu - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ボーン・コレクター』『コフィン・ダンサー』の著者ジェフリー・ディーバーが文書検査士「パーカー・キンケイド」を主人公にした作品である。
元FBIのキンケイドが連続予告殺人の首謀者からの脅迫状を検査するために引っぱり出される。この設定はリンカーン・ライムの時と瓜二つである(本作にはリンカーン・ライムもちょこっと登場する)。
キンケイドは妻と別れて子供2人を育てている。子供を心から愛しており、アル中だった妻が養育権を振りかざしてくるのを畏れている。この辺の設定は本作独特であり、物語のひとつの軸となっている。
初っぱなから意外な展開となり、最後にはどんでん返しが待っている。途中少しダレるが終盤は一気に読ませる。どんでん返しのパターンが『コフィン・ダンサー』と似ているのが難点といえば難点か。
20世紀最後の大晦日に起きる一連の事件。章の最初にはご丁寧にも時刻と砂時計の写真が付いている。
さて“悪魔の涙”であるが、尻尾がまっすぐ上に伸び、水滴のような形を作っている、小文字の「i」の上に付く特異な点を主人公が“悪魔の涙”と命名したのだ。