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世にも奇妙な人体実験の歴史
著者 トレヴァー・ノートン , 赤根洋子・訳
マッドサイエンティストの世界へ、ようこそ
性病、コレラ、放射線、毒ガス……。人類の危機を救った偉大な科学者たちは、己の身を犠牲にして、果敢すぎる人体実験に挑んでいた!
自身も科学者である著者は、自らの理論を信じて自分の肉体で危険な実験を行い、今日の安全な医療や便利な乗り物の礎を築いた科学者たちのエピソードを、ユーモアたっぷりに紹介します。
解剖学の祖である十八世紀の医師ジョン・ハンターは、淋病患者の膿を自分の性器に塗りつけて淋病と梅毒の感染経路を検証しました。十九世紀の医師ウィリアム・マレルは、ニトログリセリンを舐めて昏倒しそうになりますが、血管拡張剤に似た効果があると直感。自己投与を続けて、狭心症の治療薬として確立するもとになりました。二十世紀、ジャック・ホールデンは潜水方法を確立するために自ら加圧室で急激な加圧・減圧の実験を繰り返し、鼓膜は破れ、歯の詰め物が爆発したといいます。
その他にも放射能、麻酔薬、コレラ、ペストなどの危険性の解明に、自らの肉体で挑んだマッド・サイエンティストたちの奇想天外な物語が満載。その勇気と無茶さに抱腹絶倒するうち、彼らの真の科学精神に目を開かされる好著です。
解説・仲野徹
世にも奇妙な人体実験の歴史
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世にも奇妙な人体実験の歴史
2020/10/18 08:49
先人たちの勇気に感謝
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:飛行白秋男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
科学者たちのの底なしの好奇心から病気の人の吐瀉物を飲んだり、性病患者の膿を自分のものに付着したり、真水を持たずに大海原に漕ぎ出したり等々。
私には信じられないことだらけでした。面白いやら気味悪いやら、ぜひ読んでみてください。当初は捕虜や奴隷に残酷な実験をしたのか思ったのですが、そうではなくて、自らの疑問を自らの体で実験した記録です。
多くの犠牲者のご冥福をお祈りいたします。
世にも奇妙な人体実験の歴史
2021/09/12 15:29
人類の歴史そのものが人体実験の歴史
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くろくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
原題は、”SMOKING EARS and SCREAMING TEETH”
(耳が煙を吐き、悲鳴を上げる歯)。
「第13章 ナチスドイツと闘った科学者たち――毒ガスと潜水艦」に登場する、
イギリス20世紀の生物学者ジャック・ホールデンのエピソードによるものです。
彼は、”プレッシャー・ポット”と呼ばれる鋼鉄製の加圧室で、気圧が人体に与える実験を繰り返しました。もちろん、自分の身をもって。
これを題名にもってくるあたり、海洋生物学が専門の著者は、同じく生物学者で海にかかわる実験をしたジャック・ホールデンに思い入れがあるのかもしれません。
ちなみにジャックの父、ジョン・スコット・ホールデンも自らの身をもって、有毒ガスの特定など空気の質が人間の健康に与える影響を生涯をかけて研究した愛すべき奇人変人博士です。
その”うっかり博士”ぶりを物語るエピソードに、わたしもこの人物が好きになりました。
過激な邦題ですが、興味本位なネタを並べたものではなく真面目な本です。
といっても、紹介される科学者たちの、その無謀とも思えるチャレンジ精神やどうにもとめられない好奇心の強さは、常人の理解が及ばないという点では、やはりイメージ通り”マッド・サイエンティスト”なのかもしれません。
全17章の本書のうち約3分の2は、医学の歴史といっていいでしょう。
今まであまり行われてこなかった人体解剖をしまくったジョン・ハンターに始まり、
外科手術を進歩させた麻酔、有毒物質と薬の線引き、未知の病原菌、感染症の特定など。
「現在おこなわれている全ての医療行為は、なんらかの形で人体実験を経て、その有効性と安全性が確認されたもの」と、解説にもあるように、
ある意味、人類の歴史そのものが、人体実験の歴史といえるかもしれません。
残り3分の1は、科学技術の発展にともなって行動範囲を深海から成層圏にまで拡大した人類の冒険的試みが楽しめます。
海で遭難したら海水は絶対飲んじゃいけないって言われてきたけど……
世にも奇妙な人体実験の歴史
2018/11/02 16:05
面白い!
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:リョウ - この投稿者のレビュー一覧を見る
怖いもの見たさのような感覚で購入してしまいました。
人体実験を色々と分類分け?してみたりしていて、「なるほど〜」と思う部分が多々ありました。