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ボラード病
著者 吉村萬壱
日本中を震撼させた傑作がついに文庫化!
B県海塚市は、過去の厄災から蘇りつつある復興の町。
皆が心を一つに強く結び合って「海塚讃歌」を歌い、新鮮な地元の魚や野菜を食べ、
港の清掃活動に励み、同級生が次々と死んでいく――。
集団心理の歪み、蔓延る同調圧力の不穏さを、少女の回想でつづり、
読む者を震撼させたディストピア小説の傑作。
(解説・いとうせいこう)
「誰も触れたがらないきわどいポイントを錐で揉みこむように突いてみせた、とびきりスキャンダラスな作品」(松浦寿輝)
「この作品に描かれた社会が、近未来の日本に現れないことを願っている」(佐藤優)
「世界をありのままに感じることがいかに困難であるかを描きだした魂の小説」(若松英輔)
ボラード病
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紙の本ボラード病
2017/10/02 22:37
これは病気ですか
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:tomtom - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めのほうは、けっこう笑えて面白く読み進めていたのですが、唐突にゾッとする場面が。
笑いと恐怖が混じり合う、スリリングな読書体験でした。
小さなコミュニティであれば起こり得そうな集団心理というか…、単なるフィクションにしては妙な生々しさを感じました。
あと、「ボラード」の意味を初めて知りました。
紙の本ボラード病
2022/04/22 22:23
狂った町の、病んだ少女
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hachiroeto - この投稿者のレビュー一覧を見る
海塚市という架空の町が舞台。一人の少女の視点で綴られている。この少女自体もいろんな意味で生きにくさを抱えていて、妄想癖があったり、母との関係もだいぶ病んでいたりするのでだが、読んでいくとそれよりも、舞台の海塚市自体の気持ち悪さが際立つ。
とにかく住民の、市への愛着の度合いが並外れている。みんなで市の歌を歌い、市の海産物を絶賛し、住民総出で海辺でゴミ拾いをしたりと、こう書くとごく普通の町にしか思えないが、一方でここでは同級生が次々に死に、市を批判した人は行方不明となり、反抗的な若者を警官がいきなり袋叩きにする。
少女の異常さ、少女と母の関係の異常さ、少女が通う学校の異常さ、そして町全体の異常さが、ここでは入れ子のように描かれている。むしろ町の異様さに抗うことが母の異様さを生み、母の異様さに抗うことが少女の異様さを生み出している、とも言えるだろう。
電子書籍ボラード病
2021/09/02 22:07
あの事故から8年を描く
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
「安心安全」や「絆」を、やたらと押し付けてくる海辺の町が不気味です。大人顔負けに真実に迫る少女に、待ち受けている運命も衝撃的でした。