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3件
夏物語
著者 川上未映子
大阪の下町で生まれ小説家を目指し上京した夏子。38歳の頃、自分の子どもに会いたいと思い始める。子どもを産むこと、持つことへの周囲の様々な声。そんな中、精子提供で生まれ、本当の父を探す逢沢と出会い心を寄せていく。生命の意味をめぐる真摯な問いを切ない詩情と泣き笑いの筆致で描く、全世界が認める至高の物語。
※この電子書籍は2019年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
夏物語
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2024/09/07 21:43
続編を貼り合わせた作品
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:象太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
芥川賞を獲得した『乳と卵』とその続編を貼り合わせた作品。『乳と卵』は大阪弁が多く、地の文と姪の日記から成り立つ。一方の続編部分は、インタビューを物語に落とし込んだ文章のよう。頭が人、体が獅子のエジプトのスフィンクス的な作りだ。
夏目漱石の三部作『三四郎』『それから』『門』は、それぞれ別々の話だが、それぞれの主人公が歩む人生を一つのレールで描いているように読める。
村上春樹の『街とその不確かな壁』は、『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』の続編だ。『壁』の中で『世界の終わり』を完全に書き直している。
『夏物語』は、『乳と卵』を加筆するだけにとどめず、続編の文体で全面的に書き直してもよい気がした。今回は夏子の視点が最も重要であり、緑子が日記で語る部分の必然性はないようにも思える。
まさか十数年後に『夏物語』とその続編を貼り合わせた作品を出さないよな。。。
ただ、登場人物のキャラクターは良くて、特に善百合子、恩田、仙川さんは印象的だった。任務を終えて宇宙の向こうに飛んでいくボイジャーが、種だけ残して栃木に帰る逢沢に重なり、実に気の毒だった。一人の男性読者としては、恩田や逢沢、成瀬でない普通に共感できる男が描かれていると、作品全体への共感が増すような気がした。
夏物語
2022/11/23 03:16
考えさせられる
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつみかん - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても引き込まれた。考えさせられた。ぜひ、多くの女性に読んで欲しい。子供を産むなんて、幸せに生きてきた人にしか出来ない所業だと感じてしまう。
夏物語
2022/03/04 13:24
本音
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かい - この投稿者のレビュー一覧を見る
女性として生まれてきた後悔や、生きていかなければならない葛藤などが、男がわかるようにうまく伝わるように綴られ、エンタメ的要素もあり面白かった。