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4件
赤い博物館
著者 大山誠一郎
『密室蒐集家』で第13回本格ミステリ大賞を射止めた著者がミステリ人生のすべてを賭けて贈る渾身作!
松下由樹主演ドラマ「犯罪資料館 緋色冴子シリーズ『赤い博物館』」原作。
キャリアながら《警視庁付属犯罪資料館》の館長に甘んじる謎多き美女・緋色冴子警視と、一刻も早く汚名を返上し捜査一課に戻りたい寺田聡巡査部長。
図らずも「迷宮入り、絶対阻止」に向けて共闘することになった二人が挑む難事件とは――。
予測不能の神業トリックが冴え渡る、著者初の本格警察小説!
〈収録作品〉
パンの身代金
復讐日記
死が共犯者を別つまで
炎
死に至る病
解説・飯城勇三
記憶の中の誘拐 赤い博物館
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記憶の中の誘拐 赤い博物館
2022/11/28 20:41
アクロバティックな論理と異様な動機の本格ミステリ短編集
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:honto好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
謎を解いてやるぞと意気込んで読んだのに、途中までは真相を見破れてもその先の真相が読者の考える前提を大きく覆すものだったり、伏線の張り方が都合よすぎると思ったら必然だったことが分かったりと、すっかり作者の術中にはまってしまった。
『赤い博物館』と『記憶の中の誘拐』を続けて読み、「冴子の推理」と「犯人の動機」のロジックがだんだんアクロバティックになっていくとともに、犯人の動機の異様さがより深い人の心の不可思議さを描いているように感じた。『戻り川心中』や「赤い靴」を読んだ時の興奮を思い出した。作者はロジックに裏打ちされたトリックが得意という印象だったが、『赤い博物館』シリーズは異様なロジックのホワイダニットがプラスされている。連城三紀彦や山田風太郎のように、ミステリのロジックで人間の異様な心を描いている。今後のシリーズの展開が楽しみだ。
赤い博物館
2022/11/28 20:36
精緻でアクロバティックな論理が導き出す意外な真相を堪能
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投稿者:honto好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
冷徹な美女で変人の冴子と左遷されて鬱屈した寺田のキャラもいいし、組織内の軋轢など警察小説としての味わいもある。ロジックがあぶりだす人間ドラマも魅力的だ。特に、青春小説風の哀切さに満ちた手記形式の「復讐日記」、失われた家族への郷愁が皮肉な結末に繋がる「炎」、異様なロジック・異様な動機「死に至る問い」には、ミステリだからこそ表現できる人間の苦悩や悲しみを感じた。
赤い博物館
2021/12/31 12:06
『密室蒐集家』と双璧をなす本格ミステリファン必見の短編集
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
『密室蒐集家』で第13回本格ミステリ大賞を受賞した作家の、同じように精緻に作りこまれたミステリ短編集。ドラマ化もされました。
ドラマ原作となった「炎」他三篇も面白いですが、他の二編も負けず劣らず。特にシリーズ第一話にあたる「パンの身代金」はドラマ化から漏れたのが残念な、本書で一番の傑作。
毒入り商品で脅迫を受けたパン会社の重役が身代金の受け渡し時に殺されてしまったという事件。意外な部分から、するすると意外な真実が現れ、あれもこれも伏線だったのかと感心することしきりです。