無欲の聖女
侯爵令嬢と孤児院育ちの守銭奴が入れ替わった!? 後に国中から称えられる「少女」の勘違いにまみれた物語。
孤児のレオは、三度の飯よりもお金が好きな、筋金入りの守銭奴。
ある日、小銭でも落ちていないかと下町をきょろきょろしながら歩いていると、路上に何かを描いていた美少女の頭上に、屋根の重石が降りかかろうとしているのを見つけてしまう。
咄嗟に駆け寄り、少女を救ったレオ。
しかしその結果、少女が描いていた魔法陣に足を踏み入れてしまい、なんと二人の体が入れ替わってしまった。
少女はレーナ。かつて貴族社会を追われた侯爵令嬢の娘。
貴族の集う学院に召集されてしまうのが嫌で魔術を使って逃亡を試みていたが、それを防いだことで、命の恩人のレオは魔術を掛けられ、片言でしか会話できなくなってしまう。
性格に難アリなレーナに腹を立てるレオだが、褒章として提示された金貨にあっさりつられ、レーナに代わって学院に行くことに。
二人は契約を交わし、それぞれ学院生活と孤児院生活を送ることになるのだが―――。
中村 颯希(ナカムラサツキ):東京都在住。本作にてデビュー。
CUTEG(カム):韓国在住のイラストレーター。主なラノベ作品に『アイドライジング』、『この中に1人、妹がいる!』、『うちの魔女しりませんか?』『彼女がフラグをおられたら』など。
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2021/08/17 16:51
勘違いコメディの皮を被ったあたたかな物語
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
守銭奴と呼ばれる孤児の少年と貴族の少女が入れ替わってしまいます。
周囲の勘違いから守銭奴とはかけ離れた「無欲」の聖女と呼ばれ尊敬の念を集めてしまうーー
それだけを聞くとコメディなのかなと感じるかもしれません。
もちろんその要素はあるしその部分だけでも話が練られていて面白いのですが、
物語の舞台となる帝国は、レ・ミゼラブルを思い起こさせるような
上流階級・王族と平民、貧困層の対立から起こる様々な社会の問題が描かれています。
コメディのためだけに用意したとは思えない重厚な舞台の上で、孤児の少年の生い立ちや、
善意を受けたことのない、しかし純粋な心を持つ人間が、善意や悪意を受けたときに抱く感覚や感情、心の変化や成長が繊細に描かれており、
コメディという切り口のため口当たりは軽く読みやすいものの、にじみ出る悲惨さや、安堵に涙がこぼれそうになります。
周囲の人間たちが関わりを通して変化していく様も心地よく、
舞台と主人公の置かれた立場は悲惨ですが、その展開はコメディタッチなこともありあまり暗い気持ちにはなりません。
主人公に感情移入して、白熱した展開を楽しむという物語ではありませんが、
登場人物たちすべてが愛おしく、応援したくなるような感覚が生まれてきます。
笑って、あたたかい気持ちになって、少しだけ切ない気持ちになれる小説です。
男性向けライトノベルの中には18歳未満や女性にはおすすめし難いものも多いですが、この作品は性的描写、生々しい描写が存在せず
そういうものが苦手な方にも安心しておすすめできると思います。
この物語は小説家になろうでは4巻の後の物語が続きます。ぜひ書籍化してもらいたいと今でも願ってます。
あと、表紙のキャラクターイラストが内容と比較し少々可愛すぎるイラストで、物語の色をうまく表現できていない感じは少し残念です。
2019/04/03 08:37
いわゆる勘違い系の傑作
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ことつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
面白ーい!
暴言封印の魔術コード、「カー様」、「ネー様」・・・とにかく設定が秀逸。
原作『~は金にときめく』からの変更・加筆により、説得力も増しているし。
構成の巧みさはちょっとした推理小説レベル。
流れるように勘違いが加速していく展開に、電車内で読んでいて、笑いを堪えるのに苦労しました。
次の「エランド」編?にも期待です。
2021/10/05 15:35
大馬鹿激鈍守銭奴...
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぽち - この投稿者のレビュー一覧を見る
「このまま『婚約』を結んじゃうのもアリじゃん」←レオの心の声。
「アリな訳ないじゃん!」←私の心の声。
皇宮での「万歳」の現場。大馬鹿激鈍守銭奴とレーナは怒り心頭。
今回も心中は察するに余りあるがやっぱりこちらとしては大爆笑。
楽しかったです。付録にあった「カー様」の歌も笑わせてもらいました~
続編は勿論楽しみだけど、これからどうなっていくんだろう?どんどん深みみはまってるよね?無事二人元に戻れるのかな?