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1件
黄泉醜女
著者 花房観音
婚活連続殺人事件で死刑判決を受けた「さくら」は、稀代の醜女として世の注目を浴びた。
そんなさくらはなぜ男たちに「女神」と崇められ、求められたのか?
事件のノンフィクションを書こうと周辺取材を始めた42歳の女流官能作家と36歳の美人フリーライター。
さくらが男たちを殺めた真相を探っていくなかで、どす黒くほとばしっていく嫉妬と劣等感。
日本神話に登場する黄泉の国の鬼女「黄泉醜女」はさくらのような女なのか、それとも自分なのか。
黄泉醜女
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黄泉醜女
2015/10/30 07:21
「官能」を捨てた官能作家
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
花房観音さんは2010年に『花祀り』で第1回団鬼六賞大賞を受賞した官能作家である。
冠となる「団鬼六」が官能小説と第一人者ということもあって、花房さんへの期待は女性視点に立った官能表現ということになろう。だから、どうしても作品に官能度が少ないと期待外れのような感じになってしまうのは、花房さんにとって不幸なことだ。
同じような賞が新潮社にもあって、それが「女による女のためのR-18文学賞」。この賞の大賞を受賞した作家に窪美澄さんがいるが、賞自体が性にこだわらなくなったせいか、窪さんを官能作家と呼ぶ人は少ないのではないだろうか。
その点、花房さんの場合、官能作家という肩書はつきまとう。
さすが「団鬼六」のネームは偉大だ。
そんな花房さんが官能小説をはっきり捨てたのがこの作品といっていい。同時に、この作品では花房さんがこれまでずっと描き続けてきた「京都」からの離脱でもある。
物語の舞台は東京。この物語では東京にも強い磁力があって、誰もかれもが東京という街に吸い寄せられていくのだ。
物語の核にあるのはブスデブの容姿の女性が男たちを虜にして経済的満足だけでなく命さえ奪った事件だ。実際そのような事件は確かにあったと思う。
その容疑者となった春海さくらという女性の正体を暴くべく、官能作家である桜川詩子とフリーのライター木戸アミが春海さくらの周辺の人物に聞き取り取材をする物語である。
春海さくらと同じ料理教室に通った女性、同級生、春海に殺された男性の姉、春海の実の母、そして木戸アミ。
いずれも見えてくるのは、春海の姿ではなく、彼女との関係を話す女性たちだ。
春海という理解できない女神を通じて、彼女たちの苦悩が浮かびあがってくる。
それは官能作家と呼ばれる桜川も同じだ。
「努力して官能小説以外の仕事のほうが多くなったのに、いつまでたっても私は「官能作家」と呼ばれてしまう」、これは桜川の述懐だが、花房さんにも同じ思いがあるのだろうか。
きっとこれは花房さんの罠だろう。
花房さんももっとあっさりとそういうところから離れているのではないだろうか。
この作品がそれを証明している。
もし、花房観音さんが「官能作家」と呼ばれなくなるとすれば、直木賞の受賞しかないかもしれない。
黄泉醜女
2015/08/25 18:34
ひねったタイトルが最高。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ほっかいじんくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
美女やイケメンが、もてもてなのは不思議はないが、醜女が、なぜもてるのか?
最近は、醜女でもなぜか、もてる。いや、もてるのではなく、女神様とまでいわれる。
「自分が醜女」と思うかたは、是非読んでください。明るい未来が見えてきます。