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5件
煙の殺意
著者 泡坂妻夫
問答無用の面白さ、騙される快感!泡坂ミステリのエッセンスが詰まった名作品集。困っているときには、ことさら身なりに気を配り、紳士の心でいなければならない、という近衛真澄の教えを守り、服装を整えて多武の山公園へ赴いた島津亮彦。折よく近衛に会い、2人で鍋を囲んだが……知る人ぞ知る逸品「紳士の園」や、加奈江と毬子の往復書簡で語られる南の島のシンデレラストーリー「閏の花嫁」、大火災の実況中継にかじりつく警部と心惹かれる屍体に高揚する鑑識官コンビの殺人現場リポート「煙の殺意」など、騙しの美学に彩られた8編を収録。/収録作=「赤の追想」「椛山訪雪図」「紳士の園」「閏の花嫁」「煙の殺意」「狐の面」「歯と胴」「開橋式次第」
煙の殺意
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煙の殺意
2004/09/09 12:16
名品「椛山訪雪図」を、ぜひ一度ご賞味あれ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る
落語の名人が語る噺の旨味と、トリッキーな仕掛けの妙が味わえるミステリー短編集です。
抑制の利いた文章のたたずまい。
さり気ない話の伏線が、後でとんでもない絵柄となって現れる騙し絵の構図。
上質のミステリーを読み、味わい、楽しむひとときを満喫しましたよ。
収録された八つの短編のなかでも、直木賞候補作となった「椛山訪雪図」、花見の季節の公園を舞台にした「紳士の園」、殺人事件の現場でデパート火災を中継したテレビを見ながら事の真相に至る刑事の話「煙の殺意」の三編の出来映えが素晴らしく、これは!と唸らされました。
とりわけ、「椛山訪雪図」の話の風情が素晴らしい。読むのは今回が三度目くらいになるのかな。しみじみ、このミステリーは良いなあと魅了されました。
今まで読んだ国内ミステリー短編のなかでも、私の中では三本の指に入る名品。未読の方には、ぜひ一度ご賞味くださいとお薦めいたします。
煙の殺意
2002/04/19 19:10
キレの良い短編集
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸時代の画家の描いた絵に隠された謎を解き明かす名作「椛山訪雪図」、行儀の良い人ばかりの集まる公園の秘密「紳士の園」、完全に見えた殺人計画が思わぬところからバレてしまう「歯と胴」など、毛色の変わった謎を推理によって思いもよらない解決をみせる、といった短編のお手本のようながら、それでいて著者にしかまず書けないようなミステリ8編が収められた短編集。
中には、都合が良すぎる、推理が飛躍しすぎというところもあるのですが、語り口が絶妙で、読んでいる最中には全然気になりません。
発表が1976〜80年にかけてと、一昔前の短編ばかりなのですが、今読んでもとても新鮮、キレの良さがすばらしい。読んで損のない短編集です。
煙の殺意
2002/03/24 02:03
ハズレなし!奇蹟の短編集
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:InvisibleGreen - この投稿者のレビュー一覧を見る
収録作品どれをとってもハズレのない、自信を持ってお勧めできる短編集です。なかでも『紳士の園』は私にとってはベストテン級の名作です。これ一編だけでも定価分の価値は十分あるのではないでしょうか。ミステリファンは即購入してまず読んでみて下さい。