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旅人 ある物理学者の回想
著者 著者:湯川秀樹
日本初のノーベル賞受賞者である湯川博士が、幼少時から青年期までの人生を回想。物理学の道を歩き始めるまでを描く。後年、平和論・教育論など多彩な活躍をした著者の半生から、学問の道と人生の意義を知る。
旅人 ある物理学者の回想
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旅人 ある物理学者の回想 改版
2019/06/20 15:18
牙は抜けたのか
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投稿者:たあまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
湯川という姓は、最近では東野圭吾の小説(ガリレオシリーズ)でちょっと変人の天才物理学者の名前として使われていますね。
原子核の研究をして、原子力の生みの親のような湯川博士ですが、核兵器は人類と共存できないとして、原水爆禁止運動に力を入れました。
広島の平和公園に、平和の像「若葉」・湯川秀樹歌碑があり、
まがつびよ ふたたびここに くるなかれ
平和をいのる 人のみぞここは
という歌がきざまれています。
“まがつび”とは“禍つ火”と書き、災いの火の意味ですから、原爆のことを指しているのです。
湯川博士はかつて、核エネルギーの平和利用を否定するものではないと断った上で、こんなことを言っています。
「来たるべき世界においては、核エネルギーが牙を抜かれて人類の福祉に全面的に奉仕するようになることを期待しているのである。」
いまの社会は、牙を抜いたつもりだったのに、実はその牙は抜けていなかったのだという事実に直面しています。原発で燃えている原子の火は、ほんとうに“禍つ火” ではないのか、 わたしたちはよく見ていかないといけませんね。