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3件
かめくん
著者 北野勇作
かめくんは、自分がほんもののカメではないことを知っている。カメに似せて作られたレプリカメ。リンゴが好き。図書館が好き。仕事も見つけた。木星では戦争があるらしい。第二十二回日本SF大賞受賞作。
かめくん
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かめくん
2020/06/24 09:34
北野勇作氏による日本SF大賞受賞作です!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『昔、火星のあった場所』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞され、作家デビューされた北野勇作氏の、これまた日本SF大賞受賞の傑作です。内容は、主人公であるかめくんは本物のカメではなくてカメ型ヒューマノイドである「レプリカメ」です。当然、目的があって作られたはずなのですが、今はもう目的のために動くのではなく、自分で住む場所や仕事を探して、生きていかなければならないのでした。思い出もなく、自分が作られた目的すら忘れてしまったかめくんですが、色んなことを勉強し、不器用ながらも、生きていきます。しかし、なかなかうまく人間の世界には溶け込めません。自分の生き方を模索しようとするかめくんは、単なる物なのでしょうか?それとも人間と同じような実存的存在なのでしょうか?続きは、ぜひ、同書をお読みください。
かめくん
2014/05/11 20:37
日常系SFに男泣き
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:minami - この投稿者のレビュー一覧を見る
世間には「日常系」なんて言葉があるが、日常系SFの傑作といえば『かめくん』をおいて他にないだろう。
我らが主人公のかめくんは、亀型アンドロイドとしてゆるーい生活を送る。かめくんをとりまく世界は、実態の見えない戦争によってルールが支配されているし、どこか狂っているような不気味な人間で満ち溢れている。それでも、そんな世界でかめくんはかめくんなりにゆるーく日常生活を送るのである。
かめくんの生活に漂う、まったりとした雰囲気も『かめくん』の魅力ではあるのだが、しかしなんといっても一番の魅力は、その寂しくも美しい終盤の展開だろう。
ネタバレになるので詳しくは書かないが、序盤中盤のほのぼのとした作劇を踏まえた上で、ラストシーンを読んだ僕は、ついつい男泣きしてしまった。
ちなみに、SFにありがちな硬派な雰囲気はまったくといっていいほどないので、SFが苦手な人にも、ぜひ手にとって欲しいと思う。
かめくん
2013/02/23 23:00
大きな物語の一部
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ソレイケ - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間とともに生活する、作中「かめくん」と呼ばれるカメ型アンドロイドの日常を描くという物語だが、その「日常」背後に何やら巨大な物語の存在が透けて見える。しかし、結局それが何なのかははっきりとは示されないまま幕が下ろされてしまう。複数のエピソードを重ねながら、その「巨大な物語」をほのめかせる手法が絶妙。いかにもSFでございますというような科学用語の陳列などはせず、どちらかと言えば「ドラえもん」的ですらある「かめくん」だが、きっと北野の中には広大かつ緻密な世界がきちんと構築されているのだろう。その一部を切り取って見せているかのような小説で、あれこれそのバックグラウンドを想像するのも楽しい。