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新装版 一絃の琴
著者 宮尾登美子 (著)
直木賞受賞作。土佐藩の上士の娘・苗は、祖母・袖の嗜みであった一絃琴を5歳の時に初めて聴き、その深い音色に魅せられた。運命の師有伯と死別した後、結婚生活で一度は封印したものの、夫の理解を得て市橋塾を始め、隆盛を極めた。その弟子となった蘭子は苗との確執の果て、一絃琴の伝統を昭和に伝える(講談社文庫)。
新装版 一絃の琴
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一絃の琴 新装版
2019/10/01 19:56
琴の音
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
苗が弟子蘭子へ抱く思いが複雑で興味深いです。言葉では説明できないあの感じ。モデルになった方がいるそうですが、蘭子の最期は壮絶で、こんな書かれ方をされるのは辛いかも・・・どのような音色か聞いてみたいです。
一絃の琴 新装版
2015/10/06 12:25
女同士の張りつめた緊張感がたまらない
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:crest - この投稿者のレビュー一覧を見る
厳格な武家に生まれこれも武家の女の鏡と言われた祖母に育てられた苗、祖母の音曲好きから一弦琴を習うことを許され、めきめきと上達、呑んだくれの師流月にやっとの思いで弟子入りを果たしその教えを乞うたのだったが、思いがけない師の死とその後明らかにされる師の行状から一弦琴から離れる苗。その後自身の結婚、早すぎる夫の戦死、妹の結婚と死、その後添えとなり女としての波乱に満ちた人生を歩み、市橋家での何不自由ない生活の中でやはり渇望されるのは一弦琴への思い、夫の協力を得て市橋塾開設、前半はまさに苗の苦難に満ちたサクセスストーリーといったところでしょうか。前半だけでも素晴らしい作品なのに後半はがらりと塾生蘭子の側からまさに女同士の火花散る対抗意識、一弦琴の衰退と伝統を守ろうとする流れとのはざまで一弦琴に魅せられそれを通して緊張しあう女同士の生涯が美しく描かれています。この作品を読み一体一弦琴の音色とはどういうものなのか知りたくなりました。