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15件
クラインの壺
著者 岡嶋二人
現実も真実も崩れ去る最後で最恐の大傑作。200万円で、ゲームブックの原作を謎の企業「イプシロン・プロジェクト」に売却した上杉彰彦。その原作をもとにしたヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることに。美少女・梨紗と、ゲーマーとして仮想現実の世界に入り込む。岡嶋二人の最終作かつ超名作。そのIT環境の先見性だけでも、刊行年1989年という事実に驚愕するはず。映画『トータル・リコール』の前に描かれた、恐るべきヴァーチャルワールド!(講談社文庫)
クラインの壺
05/08まで通常838円
税込 419 円 3ptワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
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クラインの壺
2014/11/13 00:39
今読んでも、古びていない!
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:伊坂幸太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品のすごいところは、決して古びていないところでして、もちろん、「今読んでも、古びていない!」という作品はたくさんあるのですが、僕が今回、『クラインの壺』を読み返して、改めて感動したのは、僕が高校生の頃に、「ああ、もしかするとこんなゲームが近い将来できるかもしれないなあ」と抱いた思いを、二十年以上経った今読んでも、抱いたことでした。百年後の未来を想像して描かれた話であれば、それは少し時間が経ってもやはり、「遠い未来の話」として思い描くことができますが、『クラインの壺』は、「少しだけ未来を先取りした物語」であるにもかかわらず、二十年経ってもまだ追いつかれていない、という絶妙の「新しさ」を備えているわけで、それはなかなかすごいことだと思います。
【『honto+ vol.8』掲載】
クラインの壺
2020/02/26 08:31
虚実表裏
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
初版の年月日を見て驚いた。
全く古びていないどころか、現在そして未来を先取りしたような傑作。
読み進めて行き連れて、realとVRが入り乱れ何が真実なのかわからくなってくる。
VRそしてAIの発達とともに近未来においてこのような情景が実現してしまいそうな、恐怖感を味わえる。
クラインの壺
2017/02/05 02:54
岡嶋二人、解散前の最後の作品。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サクラフブキ - この投稿者のレビュー一覧を見る
岡嶋二人は日本では結構珍しい共作ミステリ作家で、徳山諄一と井上泉(現・井上夢人)の「おかしな二人」をもじったペンネーム。
本作は、その「岡嶋二人」名義の最終作で、たぶん最高傑作です。
この作品はミステリとSFの境界線を漂う……イヤ、ミステリとSFを一緒に貫いてるような作風になってます。
ミステリ色の強いSFサスペンス、と言ったら近いかな。
究極のヴァーチャル・リアリティ・ゲームシステムを開発したイプシロン・プロジェクト社に、ゲームの原作を提供した上杉彰彦は「原作者なんだからゲームのテストプレイに参加して」と要請を受け、テストプレイヤーとなって開発に参加します。もう1人のテストプレイヤーはアルバイトで参加した高石梨紗というカワイイ子。
プレイを続けるうちに仲良くなる2人ですが、なんとその梨紗が突然、謎の失踪。
上杉は梨紗の友達、真壁七美と一緒に消えた梨紗を追うことになります……。
俺は「新潮ミステリー倶楽部」というハードカヴァーのシリーズで読んだんですが、発行当時(1989年)にヴァーチャル・リアリティって概念や言葉自体は決して一般的ではなかったです。
スキな人だけが話題にしてたような感じでした。
衝撃でしたね、素直に。「参りました!」って思った。
コレ読んだあと、台所で使う「なべつかみ」を、銀色の奴に替えて(笑)今でも使ってるくらいハマりました。
で……あ~、ネタバレするから詳しく書けないっ!!
ん~。中盤あたりからかなりの確率で、先が気になって睡眠時間削る人が続出すると思います。
ワクワク、ドキドキは保証しましょう。ハラハラもある。SF的な「センス・オブ・ワンダー」さえもある。
スゴい作品です。これから読む人が羨ましい。
あ。
俺は、ケネスのモデルになったのは世界まるごとハウマッチに出演してた頃のチャック・ウイルソンじゃないかな、って思ってるんですがどうなんでしょう?(笑)