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11件
将棋の子
著者 大崎善生
奨励会……。そこは将棋の天才少年たちがプロ棋士を目指して、しのぎを削る”トラの穴”だ。しかし大多数はわずか一手の差で、青春のすべてをかけた夢が叶わず退会していく。途方もない挫折の先に待ちかまえている厳しく非情な生活を、優しく温かく見守る感動の1冊。第23回講談社ノンフィクション賞受賞作(講談社文庫)
将棋の子
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将棋の子
2015/10/30 17:40
こんなに号泣するとは…
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本との出会いは、高校時代お世話になった現代文の先生に勧められて購入しました。人生の節目など大事な時に読むといいよと言われ、今年就活ということもあって、先生が言っていたことを思い出し読み始めました。
読み終えた後、プロの将棋の世界はこんなにも厳しい世界なのかと思い知らされました。夢を叶えるためには、努力だけでは叶わない。運やタイミング全てがマッチして頂点にたてる。登場人物はプロになりたい思い・夢、目の前にある夢へのプレッシャーに押しつぶされそうな日々、仲間とライバル、挫折、夢を失った後の人生、とにかくそれぞれが色濃く描かれてあります。読み始めたら、一気に読み終えてしまいました。
特に主人公の成田の夢が敗れた後の人生の話は本当に涙が止まりませんでした。言葉一つ一つが胸に突き刺さり、自分はまだまだ全然努力してないのに、文句ばかり言って、欲張りで、と反省と同時にもっと人生を大事にしよう、大切な人を大事にしようと強く思える作品です。
普通であれば、中学、高校、大学と勉強をしなければならない期間に、プロ棋士という夢にまっすぐに突っ走っらなければならないため、通常の生活とはかけ離れており、棋士という夢がなくなった人たちは、とてつもない挫折を味わい、その後人生はまともに職につけないという現実を知り、この世界の厳しさと、そのような方々の覚悟というものを知りました。
この本を読むと、自分はなんて情けなく弱い人間なんだろうと、考えさせられます。それと同時に温かさもあり、とにかくいろんな感情が溢れてきます。
とにかく、読んで損はないです!
いろんな人に読んでもらいたいと思いました。
将棋の子
2020/02/11 15:15
心を打たれます。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:岩波文庫愛好家 - この投稿者のレビュー一覧を見る
奨励会・・私には変なおどろおどろしい意味ではなく、魔界のように感じました。その会に魔力があるというのではなく、そこに所属する若き棋士たちのドラマが切ないのです。全てを切り捨てて将棋一筋に打ち込み、稀有な才能と膨大な努力と天のみが知る運命でトップへ駈け上がって行く者もいれば、足踏みののちに転落してしまう者もいる。
先日上の娘が中学受験を終えました。本人が志望する第一志望校には合格しませんでしたが、第二志望校と押さえの学校との2校には合格しました。その第二志望の学校の最上位コースに思いがけず合格したので、何か縁を感じました。
棋界は縁とは少し異なっていると思います。或る意味かなり残酷と言える気がします。奨励会の仕組みがそうであるとも言えますし、将棋にしか生きてこなかった故に自身の身の振り様が利かない点かもしれません。
普通のサラリーマンが一番いいのかもしれない、などということを霞めたくなりますが、それとて楽じゃない。
結局人生、楽して過ごし、楽して終えられないんだなぁ、この世に生を受けてきた以上、世の中で様々な経験をするという『意味』を得る事が人間一人ひとりに課せられた使命なのではないか、と思います。
将棋の子
2015/11/21 16:34
人間の弱さ
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MaX - この投稿者のレビュー一覧を見る
将棋の世界が厳しい世界だということが本当にわかりました。
3段リーグで敗れてしまった人のその後が書いてあります。
人間の弱さと強さとか、、
かたまらず涙を流してしまいました。