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懐かしい年への手紙
著者 著:大江健三郎
郷里の村の森を出、都会で作家になった語り手の「僕」。その森に魂のコミューンを築こうとする「ギー兄さん」。2人の“分身”の交流の裡に、「いままで生きてきたこと、書いてきたこと、考えたこと」のおよそ総てを注ぎ込んで“わが人生”の自己検証を試みた壮大なる“自伝”小説。『万延元年のフットボール』『同時代ゲーム』に続きその“祈りと再生”の主題を深め極めた画期的長篇。
懐かしい年への手紙
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2024/12/17 02:37
大江健三郎随一の脂が乗った長篇小説
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みなと - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者52歳の時の書下ろし長篇小説として脂の乗った傑作だと言える。もちろん他でもない大江のことだから、脂に独特の風味があるし、相変わらず冒頭から第一章を読みきるまでの間の読みにくさ、あるいは作品世界への没入のしづらさは拭い得ない。けれど、ギー兄さんやら谷間の村やらダンテの『神曲』やら「ジ・エターナル・ドリーム・タイム」やらといった名詞にあなたが興味を示すかついてゆけるかしたならば、その頃には、この文章を読むこと自体が、愉しくてたまらなくなっていることと思う。
懐かしい年への手紙
2021/12/28 14:47
大江の総決算的作品
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
当時の大江の総決算的作品としていいだろう。危ういほど宗教的モチーフが前景化しているが、同時にやはり大江は哲学者でも宗教家でもなく小説家なのだということをいい意味で実感させてくれるものとなっている。