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極北シリーズ【全2冊合本版】
著者 海堂 尊
存続ぎりぎり、財政難の市民病院に派遣された今中の肩書は"非常勤"外科部長。このままでは破綻すると囁かれている街で、病院は、今中は生き抜けるのか。過酷な地方医療の現場と医師たちの格闘を描いた傑作シリーズ2作合本版(『極北クレイマー2008』『極北ラプソディ2009』)。
極北シリーズ【全2冊合本版】
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2022/06/10 19:29
地域医療の課題をとらえているものの、まとまりに欠ける
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しん - この投稿者のレビュー一覧を見る
置き去りにされた話題が多く、もやもやした気持ちになる。医療ジャーナリストは何をしたくて医師を逮捕させたのか。。
地域医療の問題点はしっかり提起してくれている。医師がいないのに救急医療ができるわけはない、はその通り。住民の医療へのわがままがこの問題を生んだのもその通り。でも、世良先生は何をどう変えたかったのか、薬の処方を減らすとなぜ黒字化するのか、ちょっと説明が足りなくて雑な印象。
速水先生は相変わらずかっこいいが、自分の主義主張を押し通すことでその無理の結果としての責任をかぶる人がいることを体感したよう。誰よりもできるジェネラルの孤独が切ない。
産婦人科医師の逮捕の問題は一時期社会問題化した事件。不確実性のある病気に対して、専門知識を以てその時に最良と思われる医療をしたとしても患者さんが亡くなることはある。それを恨む遺族の心情はともかくとして、警察の介入や、専門外の裁判官が裁くことの妥当性、それが医師に与えるインパクト・・・描いてほしい課題はたくさんあったのだが中途半端で、三枝先生がどうなったのかも尻切れとんぼで残念。
ひとつひとつのエピソードやセリフには共感するものが多いのだが、全体としてのまとまりに欠ける印象を受けた。