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3件
新版 落語手帖
著者 矢野 誠一
落語事典の決定版! 全274席、口演頻度の高い噺をほぼ網羅。すべてに梗概・成立・鑑賞・藝談・能書を解説した落語ファン必読の一冊。新たな書き下ろしも加えて、名著を完全復刻!
●芝浜 【鑑賞】客席の、さわやかな熱気のようなものが、たったひとりでいる3桂三木助の所にまで伝わってきて、このあと『芝浜』をやるのだということに、なんともいえないすがすがしい緊張と、これから藝をやるのだという喜びが、三木助の身内に、ゆるく、しずかに昂まっていくのが感じられた。(略)――安藤鶴夫
●だくだく 【藝談】はなし終えて楽屋に戻ろうとしたら「面白かったつもり」と客にいわれました。すぐに、「いやな客のつもり、横っつらを張り倒したつもり」とやったらうけました。――4柳亭痴樂
●大仏餅 【鑑賞】(略)その日、8桂文樂が出て、『大仏餅』を演った。話が1ヵ所をぐるぐる廻りだしたとき、もう私は自分も胸がつぶれる思いで高座を見守った。(略)「――また勉強して、出直してまいります」文樂が静かに引込んだあと、私はしばらく声が出なかった。(略)――色川武大
……ほか、全274席(藝名の上に表記した洋数字は代数をしめす)
(1ページ1演目でひける、梗概・成立・鑑賞・藝談・能書事典)
【演目】はいちばん馴染みの深い通称を首題に、別題もすべて提出。演者の語り口を彷彿とさせる筋とオチの【梗概】、初演時の時代背景がわかる【成立】、多彩な見巧者による、個性溢れる【鑑賞】、三遊亭圓朝はじめ、名人ならではの【藝談】、蘊蓄たっぷりの【能書】まで、詳細に解説。
新版 落語手帖
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落語手帖 新版
2019/07/23 20:40
落語好きには欠かせない一冊
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
落語家が寄席などで噺をすることを「口演」という。
なるほど、口で演じる芸だから「口演」。いい日本語だ。
演じるネタは「演目」。
ホール寄席などで聞いていると、落語家は当日の入場者の年齢層とか男女比とか笑いの密度などでどんな「演目」にしようかと決めるらしい。だから、噺のマクラが長くなったりする。
その一方で、テレビの落語番組などを見ていると、最初から「演目」が決まっていて、今日はこういう噺家がこういう「演目」を「口演」するから、ひとつ見るか、あるいは聞いてやるか、みたいなことになる。
落語に慣れてくると、あの「演目」はこの落語家の「口演」がいいとか、そのあたりはオーケストラの指揮者に好き嫌いと似ていなくもない。
やっぱりベートーベンはこの指揮者がいいよな、いやあいつの指揮もなかなかなもの。
こういう会話は落語界でもある。
つまりは落語家と指揮者は似ていることになる。そういえば、少し高い高座のようなところに指揮者もあがる。
この本はあまたある落語の「演目」から比較的口演される機会の多い274作品が、一演目一ページで紹介されている、「手帖」というより「事典」のような一冊だ。
まず、筋とオチを簡潔にまとめた「梗概」がある。そのあとに、その噺がどのように成立したかが説明される。
その次に、「鑑賞」があるが、これは矢野誠一氏が執筆したものではなく、何人もの見識者のそれを紹介、そのあとに「芸談」、さらには「能書」までつくというような徹底ぶり。
落語好きには欠かせない一冊であるのは違いねえ。
2024/08/12 08:04
ちょっと前に
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はまち - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のことは、ちょっと前に伯山先生のラジオで知りました(TBSのアーカイブが生きていれば今でも聞けます)。寄席界隈のことを昔から好きなんでしょうね。素敵な人生だなと感じました(たとえ若いやつに盾突かれたとしても)。
落語手帖 新版
2023/05/24 00:39
落語ざんまい
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
聞いたことのあるものや、初めてのもの、初めてのはずなのに懐かしい……つまり、覚えてないけど聞いたことのあるものなんだなと思うものやら。色々と掲載されてあきません。