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老害の人
2022/12/16 06:15
老害注意報、発令中!
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1948年生まれの内館牧子さんは、りっぱに高齢者の分類にはいるのだろうが、
その内館さんが『老害の人』というタイトルで小説を書くなんて
ちょっと自虐すぎないか。
いえいえ、すでに内館さんは『終わった人』『すぐに死ぬんだから』『今度生まれたら』と、
老後小説を続々と発表し、
おそらく登場人物と同世代の読者から熱い支持を受けている。
なので、この『老害の人』というタイトルに
納得する人はいても、憤慨する人は少ないと思う。
少なくとも、そういう年寄りいるよなと
笑っているのではないだろうか。
自分はさておき。
この小説の中で、内館さんは「老害」についてこう書いている。
「老害とされる人は、口数が多い。後先を考えず、言いたいことを言う。
そんな自分に酔い、際限なくいくらでも言う。」
そんな男、85歳の福太郎がこの物語の主人公。
小さな玩具会社の業績を伸ばしたのが自慢。
「老害」の典型が自慢話。
その果てに、会社の新しい取引を破談にさせ、娘からこっぴどく叱られる。
それで引っ込まないのも「老害」ならでは。
「病気自慢」「趣味自慢」といった「老害」仲間を集めて、
老人のためのサロンをこしらえてしまう。
「何かを始めることは、こんなにも人間を力づける」と、
福太郎たちに精気がよみがえり始めた。
この物語を読んで、
曲がった背中がしゃんとするかもしれないが、
それが新たな「老害」にならないよう、
危惧もしたりして。
老害の人
2023/02/05 12:51
面白いし考えさせられる
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:tad - この投稿者のレビュー一覧を見る
内館牧子氏の老人小説第四弾
毎回面白いし、自分もそういう歳に近づいてきているので身近に感じて考えさせられる。
良くないことは歳をとってもこんなことしちゃいけないんだなと思うし、良いことはこういうお年寄りになりたいと思う。また今回のお話の中に出てくる夫婦のようにうちもよくいっしょに出かけるので先に相手に逝かれると辛いだろうなと思うし、最後のほうは感情移入してしまいました。
私の先輩はこの老人小説を読むと気分が悪いと言われますが、いつも面白いと思うし、ためになると感じています。
老害の人
2023/04/21 08:08
ドキッとする現実。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アンナ - この投稿者のレビュー一覧を見る
自覚症状なしに進行する『老害』は、決して他人事ではないですね。
若鮎達がそうしたように、役割を持つことにより『社会的承認欲求』が満たされるのかと。
何もしないご隠居さんは返上し、何歳になっても社会との関わりを大事にしたいなと、考えさせられました。