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4件
体験格差
著者 今井 悠介
習い事や家族旅行は贅沢?
子どもたちから何が奪われているのか?
この社会で連鎖する「もうひとつの貧困」の実態とは?
日本初の全国調査が明かす「体験ゼロ」の衝撃!
【本書のおもな内容】
●低所得家庭の子どもの約3人に1人が「体験ゼロ」
●小4までは「学習」より「体験」
●体験は贅沢品か? 必需品か?
●「サッカーがしたい」「うちは無理だよね」
●なぜ体験をあきらめなければいけないのか
●人気の水泳と音楽で生じる格差
●近所のお祭りにすら格差がある
●障害児や外国ルーツを持つ家庭が直面する壁
●子どもは親の苦しみを想像する
●体験は想像力と選択肢の幅を広げる
「昨年の夏、あるシングルマザーの方から、こんなお話を聞いた。
息子が突然正座になって、泣きながら「サッカーがしたいです」と言ったんです。
それは、まだ小学生の一人息子が、幼いなりに自分の家庭の状況を理解し、ようやく口にできた願いだった。たった一人で悩んだ末、正座をして、涙を流しながら。私が本書で考えたい「体験格差」というテーマが、この場面に凝縮しているように思える。
(中略)
私たちが暮らす日本社会には、様々なスポーツや文化的な活動、休日の旅行や楽しいアクティビティなど、子どもの成長に大きな影響を与え得る多種多様な「体験」を、「したいと思えば自由にできる(させてもらえる)子どもたち」と、「したいと思ってもできない(させてもらえない)子どもたち」がいる。そこには明らかに大きな「格差」がある。
その格差は、直接的には「生まれ」に、特に親の経済的な状況に関係している。年齢を重ねるにつれ、大人に近づくにつれ、低所得家庭の子どもたちは、してみたいと思ったこと、やってみたいと思ったことを、そのまままっすぐには言えなくなっていく。
私たちは、数多くの子どもたちが直面してきたこうした「体験」の格差について、どれほど真剣に考えてきただろうか。「サッカーがしたいです」と声をしぼり出す子どもたちの姿を、どれくらい想像し、理解し、対策を考え、実行してきただろうか。」――「はじめに」より
体験格差
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2025/01/08 22:26
貧困の連鎖
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
家庭での幼少期の体験など、全国調査の結果から体験格差の大きさがよくわかり、驚きました。貧困の連鎖につながっていく問題が、明確に理解できました。
2024/06/30 23:51
体験の欠如、不足
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本でいう子供の「体験」についての課題は、格差というよりは、その欠如や不足といった方がいいのでは。所得格差といったときの格差と、体験格差というときの格差には、ちょっと違いがあるように感じます。初の全国調査の調査報告がメインということだったので、今後、さらに分析や深堀りとかがされることを期待します。
2024/07/02 09:05
連鎖するもうひとつの貧困ですか。
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:おじゃもんくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「体験格差」すごい題名である。
と言う訳で、手に取りページをパラパラめくり購入。
この「読書」と言うのも、体験の一つであると考えてますが。
この本では、「習い事」や「家族での旅行や体験」を中心にまとめている。
私の家も貧乏でしたが、「絵画」や「観劇」・「映画」の体験はさせてもらい。
「書物」が大好きで、学校の図書委員で「本の世界」を体験したジジィです。
本書は、「日本最初の全国調査」を行い。
ある一定数の「体験ゼロ」回答に基づき、集計データを精査しての一冊。
貧困家庭の色々な問題が浮かび上がっている。
基本的には「習い事」はお金が掛かり、それが一回限りでは無くて継続的に必要になる。
また、身近なサークルの活動はお金がかからないが逆に親の時間が取られる。
イコール家庭収入の減少となる。
と言う訳で、親が頑張って収入を増やさなければならない。
シングルの家庭は、親が一人のためこの動きが多い。
また、現在の日本は片親家庭が多い。
この辺りを、社会としてどう変えて行くのかが問題としている。
後半に、貧困家庭の格差支援に動く民間団体を挙げているが。
公民館等の、比較的安価な施設の減少もあり。
なかなか苦戦している様子ですね。
人は生きて行く中で、体験から学ぶことが多いと思うので。
この連鎖を断ち切る事が出来れば、この国の未来も明るくなると思いますねぇ。