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23件
NO.6
著者 あさのあつこ
2013年の未来都市《NO.6》。人類の理想を実現した街で、2歳の時から最高ランクのエリートとして育てられた紫苑は、12歳の誕生日の夜、「ネズミ」と名乗る少年に出会ってから運命が急転回。どうしてあの夜、ぼくは窓を開けてしまったんだろう? 飢えることも、嘆くことも、戦いも知らずに済んだのに……。「わたしはNO.6という物語の中で、生きる希望とやらを掴んでいけるのだろうか」――あさのあつこ
NO.6 beyond〔ナンバーシックス・ビヨンド〕
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NO.6 #1
2011/07/17 10:43
あさのあつこの別の顔ー「神話」を予感させる近未来ディストピア小説
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
あさのあつこ、といえばまず『パッテリー』だろう。
もともと児童文学として書かれたもので、野間児童文芸賞を受賞しているが、野球少年たちの野球をする姿だけでなく、その人生、その人間を掘り下げて見せて、大人にも訴え大ヒットした。映画化された際には、作家本人もさりげなくチョイ役で出演もしている。これで名を売ったというより、事実上これがデビューといえる。
その後創作の幅を広げて、違ったジャンルの小説も書き出しているのは知っていた。たとえば幻想、ホラーの要素もつ『ぬばたま』(2008)。だが、旺盛な創作意欲を持つこの作者の場合は、スポーツものからほかに転じたというよりも、もともといろんなジャンルを書ける、かつ書きたい作家とみなすのが正しいのだろう。調べてみれば時代小説なども書いている。
そのあさのあつこにこんな近未来SFがあったのだった。私が気が付いたのはごく最近だが、なんと第1巻は2003年に既に発行されているではないか。そして書き継がれてきた長編の最終巻が、ごく最近、6月に刊行されたばかりらしい。
これは面白い。『バッテリー』がそうであったように、一応子供(ヤングアダルト)向けのジャンルとして書かれていても、大人も何の違和感もなく読めて楽しめる小説である。それでいて若者の感覚をしっかり捉えて、みずみずしい感受性でもって訴えかけてくるのが心にくい。
内容的には、あさのあつこ版『1984』というところか。つまり近未来に設定したディストピア小説。「No.6」というのは一見理想的に管理された未来都市の名前だが、実はそれが…というような展開らしい。ありがちといえばありがちな設定で、この第1巻の段階ではその点でまだとくにユニークなものは感じられないし、あるとしてもかすかなものだ。それでも、持ち前の筆力で読ませる。これだけの思い切った設定で面白く読ませるというのはやはり才能だろう。
終わりごろになると、テーマ的なものもかなりはっきりしてくる。それもありきたりといえばありきたりなものだが、そこにある倫理的な一途さは『バッテリー』にも当然あったし、この作家のベースを成す部分であるのは間違いない。
主人公である二人の少年の出会いはまず冒頭にあって、そして終わり近くでも回想として再現される。最初はそれほど特別なものとも意識されなかったこの場面は、ストーリーの展開を経たうえであらためて蘇ると、鮮やかな詩的イメージとして浮かび上がる。そこには何か神話的とすら呼びたいようなある種の象徴性が感じられるのである。やはりこの作家、ただものではない。次巻へのつなぎ方も巧みで、この先が大いに愉しみだ。
NO.6 #1
2020/09/19 11:42
好きな本です
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たくみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
シオンとネズミの出会いが運命を変える。
NO.6 #1
2018/10/19 21:23
あさのあつこが書く少年
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
一見穏やかな少年も心に小さくとも鋭いナイフを持っているのがあさのあつこ作品。美しく危険な少年ならなおのこと。
今後が楽しみ。