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アフターマン―――人類滅亡後の地球を支配する動物世界
著者 著:ドゥーガル・ディクソン , 訳:今泉吉典
5000万年後、人類が消えた地球!『フューチャー・イズ・ワイルド』の著者が贈る驚異の進化を遂げ、地球を闊歩する生物たち。5000万年後、人類が消えた地球では、どんな動物が生存しているだろうか。進化学と生態学の基本原理を組み合わせて想像する。驚異の進化を遂げ、地球を闊歩する生物たちとは?
アフターマン―――人類滅亡後の地球を支配する動物世界
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アフターマン 人類滅亡後の地球を支配する動物世界
2004/10/26 14:19
いつまでも飽きずに図鑑を眺めていた子供の頃を思い出します。
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:purple28 - この投稿者のレビュー一覧を見る
前々から気にはなっていたのですよ、ちょっと特異な表紙イラスト。それは、人類滅亡後、5000万年後の世界で闊歩する“進化”した動物。要は空想の図鑑なのですが(笑)。しかしながら、これがまた、ものすごく説得力がある。というのも、想像は想像でも、ちゃんと進化学や生態学の基本原理に則ったモノなので、ちゃんとした理由があるです。
はじめの方には、地球の成り立ちから生物の進化論まで、きっちりと、でも分かりやすく説明されていて、これを踏まえからでないと、この“空想の図鑑”の面白さが半減してしまいます。例えば、同じ種が環境などによって少しずつ違った進化を見せる場合がありますよね。で、隣り合う亜種同士は交配可能なんだそうです。が、その両端は交配できない。少しずつの変化が両端では大きな変化となって、同じ亜種でも遺伝上違う生物となってしまうのです。ほかにも、イルカやサメは同じような流線型の形をしているけれども、海棲動物から進化したのはサメだけで、イルカはほ乳類から進化している、と。こういうのを収斂進化というのだそうです。学校の勉強はまったく面白くなかったんですけど、こうやって書かれてあるとどうして面白いんでしょうね(笑)。学校の教科書も、もっと面白く書けばいいのに、と思ってしまいます。
人類滅亡後5000万年後の地球では、プレートが移動し、大陸の形が変わっています。人間が破壊しつくした自然もなんとか回復した様子で、そこにはその時代に合った生態系が作られているのです。例えば、温帯の森林や草原では、人類時代に繁栄していた有蹄類は人類とともに絶滅。というのも、家畜化されたヤギやウシなどの有蹄類は、大きな環境の変化に耐えることができなかったんですね。そこへ取って代わったのは、人類時代は作物を荒し駆除してもしきれなかったウサギ類。環境の変化に柔軟に対応し、繁殖力も強かったので、場所や気候に合わせて都合よく進化できたんですね。そういった草食動物を捕食する肉食動物には、齧歯類が進化します。簡単に言えばネズミの類いですね。これも、駆除対象動物。常日ごろから厳しい環境におかれているモノだけが生き残れる、と、これも自然の重要な法則なのだと、改めて気付かされます。
ちなみに表紙のイラストは、コウモリが進化した「ナイト・ストーカー」。ハワイの辺りに誕生した新しいしまに、最初にコウモリが飛来したんですね。天敵もおらず、安定した生活を送るうちに飛ばなくなり、翼は退化。しかし昔のなごりで前脚が発達し、モノなどを掴んでいた後ろ足が、手の変わりをするようになりました。夜行性なので目は退化し、超音波を受ける耳と鼻葉が大きく発達。爬虫類だろうがほ乳類だろうが、見境なしに遅う凶暴な動物となりました。
こんな感じで、地球全体の動物を、進化の過程などを含めて丁寧に解説してます。添えられたイラストが目を引きますね。子供の頃、飽きずにずっと図鑑を開いていたころを思い出します(^-^)。
紫微の乱読部屋
アフターマン 人類滅亡後の地球を支配する動物世界
2006/08/14 02:27
今から5000万年後の地球で繁栄しているであろう生き物たち
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
あの名作「鼻行類」(ハラルト・シュテュンプケ著)と同様,架空の動物に関する博物誌。あちらの題材が「絶滅してしまった幻の生き物たち」であるのに対し,こちらは「今から5000万年後の地球で繁栄しているであろう生き物たち」をネタにしているのだ。
「架空の動物」と言うと,「なるほど『ウルトラ怪獣大図鑑』みたいなものね」と思うかもしれない。……し,読んでる方もその種の楽しみ方をしてないわけぢゃない(笑)けど,実は「角からテトロドトキシン光線を出す」とか「アセトンシアンヒドリンを含む胃液を吐いて相手を弱らせる」みたいなそういう荒唐無稽なものではない。もっと大まじめ。まずプレートテクトニクス理論に基づいて5000万年未来の大陸の様子を描き出し,その各地の気候帯を予想。そのそれぞれで,現生動物が絶滅したことで生まれたニッチをどのような動物が埋めているかを,最新進化学に照らして科学的に考察したものである。
欲を言えば,原生動物のどの種類がなぜ絶滅し,またどの種類がいかなる理由で絶滅を免れるのか,という部分にもう少し詳しい与太を振って欲しかったような気もするが,あんまりそれをやるとそっちが主のSFになってしまう恐れもあるし(例えば小松先生の「日本沈没」はそういう小説である),こんなあたりが落としどころか。1981年にイギリスで出版されてから,邦訳されるまで実に23年もかかった本にそんな贅沢を言ったらいけませんな。
アフターマン 人類滅亡後の地球を支配する動物世界
2004/07/15 05:17
3回目の出版!!
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:せどり男爵 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間は環境に適合することなく環境を自らの手で整えることで繁栄していった。自然環境とは無関係に繁殖し、地球の至る所を生活の場とした。人間は自然環境による遺伝子の選別=進化とは無縁であったのだ。結果、人間は資源の枯渇と共に絶滅した。大陸は移動し、同時に環境も変化する。
5千万年という長い時間はこういった前提を疑えど否定できない。
人間のいなくなった地球では人類の手を離れた動物達が脅威の進化を遂げていた。
そんな動物達がこの本の主役だ。
カバーに出演する「ナイトストーカー」もそんな過程で進化した生物だ。
火山列島にはコウモリが最初に住み着き、他には見られない進化を遂げた。
そんなコウモリの子孫でも大型で凶暴なのがNIGHT STALKER。背丈は1.5mあり肉食だ。夜になると金切り声を上げながら獲物を探す。
奇抜な格好に目が行きがちだが、その詳細なディテールにも興味をそそられる。
人間のいない世界をシミュレートしているのに何故こうも人間を魅了するのだろうか。
本書は80年代に旺文社から出版され、90年代に太田出版から再び本屋に並べられた。そして今回はダイヤモンド社が供給する。
長い間支持されている証拠だろうか。コアなファンがいることは確かだ。
本書で唯一、惜しむべくはA5判であることだ。値段との兼ね合いだろうがもう少し大きい本で出して欲しかった。
この本が成功するとドゥーガル・ディクスンもう一つの大作「マン・アフターマン」により人類が遺伝子工学により生き残るもう一つの未来の地球が見られるだろう。

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