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14件
とらドラ!
桜舞う四月。高校二年。新しいクラス。目つきは悪いが普通の子、高須竜児は、ちっちゃいのに凶暴獰猛、”手乗りタイガー”と恐れられる逢坂大河と出会う。そして彼女は知ってはいけない秘密を知ってしまい――。それが竜虎相食む恋の戦いの幕開けだった! いつもにこにこ、超マイペ-ス娘の櫛枝実乃梨、文武両道、勤勉実直、だけどちょっとずれているメガネ委員長、北村祐作も絡み、どこか変なメンツによる恋はすんなりいくはずもなく……!? 『わたしたちの田村くん』の竹宮ゆゆこ&ヤスが贈る超弩級ラブコメ登場!
とらドラ・スピンオフ3! 俺の弁当を見てくれ
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とらドラ! 10
2009/03/28 23:08
自分たちで選べること、選べないこと
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
手に手をとって逃避行のはずが、大河のドジのせいもあり、スタートダッシュに失敗。けがの功名というべきか、文字通り頭を冷やされていったん冷静になった竜児は、連綿と続いていくであろう負の連鎖に思いをはせ、掛け違えられた初めのボタンに戻って、間違えた何かをやり直す決断をする。その結果得られるのは、とても現実的な選択。
今回の影のMVPを選ぶならば、それは恋ヶ窪ゆり先生でしょう。今後30年続く予定の教師生命を賭けて、生徒を信じ守ろうとする姿は、教師の鑑といっても過言ではない、と思う。実は作品中で最も成長したのは彼女ではなかろうか。
そして結末。たぶん、これからもっと苦労することはあるだろうけれど、それが自分で考え選びとった未来であるならば、後悔せずに突き進めるはず。
とらドラ・スピンオフ! 3 俺の弁当を見てくれ
2010/04/12 23:31
続きが読みたい!とぶり返される最後の短編集
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
本編終了後の2009年、作者はDVDやゲーム、画集などの特典として短編やショートショートを多数書いていた模様である。中にはオチが若干弱い作品もあるが、日常が垣間見られるほのぼの感や瞬間的な笑いは満載である。
・俺の弁当を見てくれ(35頁+挿絵1点)
・とらとら!(16頁+挿絵1点)
・とらドラ!な日曜日(6頁、挿絵なし)
・ドラゴン食堂へようこそ(28頁+挿絵1点)
・とらドラ!な雨宿り(9頁、挿絵なし)
・不幸のバッドエンド大全(75頁+挿絵2点)
・ドラゴン泰子(7頁、挿絵なし)
・THE・部長(12頁+挿絵1点)
・ニセとら!(50頁+挿絵1点)
・ラーメン食いたい透明人間(28頁+挿絵1点)書き下ろし
全編に小さな挿絵付きのタイトル頁があるので、これをカウントすれば「挿絵なし」の作品はゼロである。しかし、相変わらずのハイテンションが実に面白い。細かな所に着目する妙な小ネタを用いて、少ない頁数であっても実に本シリーズらしい世界を構築する作者のパワフルな筆致に「そうそう、これこれ」みたいな納得感が得られて心地良い。そして、「これは鬱展開なのか?」というテイストや、ファンタジーというかミステリーというか、何とも珍しい展開に秀逸なオチを見せる作品もある。もしやメインヒロイン(?)な大家さんの本音や、10年後ながら全く別世界での「始まり」を描いた話に出てくる「恋ヶ窪さん」の可哀想過ぎる扱いもまた実にナイスだった。また、能登クンの後ろ向きな不器用さと疎外感が共感を呼ぶ書き下ろしは、『スピンオフ2』で描かれた春田の話と対を成す、切なくて淡い恋物語。木原摩耶との共感を得た能登クンの恋の行方は……?この続きが読みたいが……ないわな。
とらドラ! 9
2008/11/12 17:49
恋ヶ窪ゆりこと独身(30)
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回はきちんと登場し、意外にもちゃんと先生していた独身(30)への敬意を表したレビュータイトルだが、本名が二つ名になって違和感が無いという、ある意味凄い先生である。しかし、本巻の主題はこんなことではない。大河の想いを知ってしまった竜児の困惑と葛藤、進路指導に端を発する今後の生き方と母への思い、みのりんや亜美とのことなどなど、少しずつ明らかになっていく思惑を盛り込んだ内容である。急にいろんな事柄が押し寄せて狼狽し、動きが取れなくなる竜児の姿は高校生らしさに溢れている。大人でもすぐに答えを出すのが難しい事がたくさんある。それを(貧乏)高校生の立場で必死になって考え、悩み、少しずつ行動に移していこうという態度が好ましい。必ず答えがある授業やテストとは異なり、明確な答えの無いことを自分なりに正しいと考えながら試行錯誤していく姿は、すなわち大人になるということ。このことにブチ当たるお年頃の葛藤を、竜児だけでなくみのりんや亜美も体験している。最初は孤立感に苛まれていた竜児がそのことに気付いていく。悩んでいるのは自分だけではないことに気付いていく過程が上手に描かれている。作者の真骨頂とも言える。また、みのりんや亜美とのやりとりでは過去のエピソードが語られ、物語がクライマックスに近づいていることを予感させる。そんな中でみのりんの独白が輝いた終盤の展開は秀逸。亜美とは物別れに近い形で可哀想なところもあるが、みのりんとの関係は今後に明るいものを残せる上手な結末である。ここにもみのりんと亜美の器用さの違いが表れている。いっぱいいっぱいになった状況に窮屈さを感じながら相応に光明も見えてきた前向きな展開とも言えよう。それだけに最後に訪れた大河と竜児の危機が次巻以降でどのような結実を迎えるのか大変待ち遠しい限りである。余談だが、本巻で初めて「奇数巻の表紙は大河」のパターンが崩れた。