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3件
雨の日のアイリス
ここにロボットの残骸がある。『彼女』 の名は、アイリス。正式登録名称:アイリス・レイン・アンヴレラ。ロボット研究者・アンヴレラ博士の元にいた家政婦ロボットであった。主人から家族同然に愛され、不自由なく暮らしていたはずの彼女が、何故このような姿になってしまったのか。これは彼女の精神回路(マインド・サーキット)から取り出したデータを再構築した情報 ── 彼女が見、聴き、感じたことの……そして願っていたことの、全てである。 第17回電撃小説大賞4次選考作。心に響く機械仕掛けの物語を、あなたに。
雨の日のアイリス
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2017/09/13 09:06
泣いた
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いおりん - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても心に響く作品で、久し振りに良い涙を流した気がしました。物語の構成もしっかりしていて飽きずにスラスラと読むことができ、終盤では涙が止まりませんでした。
雨の日のアイリス
2015/08/27 10:53
生きる目的を知るために
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
アイリス・レイン・アンヴレラは、ロボット工学の権威ウェンディ・フォウ・アンヴレラ博士に仕えるロボットだ。無くなった博士の妹に似せて作られたという。その事とは関係なく、アイリスは博士のことが大好きだ。博士のお世話をして、褒められて、個人講義を受けたり、一緒に遊びに行ったり、それだけで幸せだ。
しかしその幸せは、ある日脆くも崩れ去る。暴走ロボットの解析中の不慮の事故で博士は亡くなり、アイリスはスクラップにされた。次にアイリスが目覚めたとき、彼女の精神回路は、継ぎ接ぎだらけの無機質なロボットに移植されていた。
悲しくなるのでなるべく博士のことを思い出さない様にして、ただひたすら命令通りに工事作業を続ける毎日。そんな日々の中で、彼女は同じ作業をするロボットのリリス・サンライトとボルコフ・ガロッシュ・ウロボロスに興味をひかれる。彼女たちは他のロボットと違って、コミュニケーションをしているのだ。
リリスに誘われ、監視の目を盗んで深夜の読書会を楽しみにする三体のロボット。読むのは童話「三流魔神ウェザー・ダーク」だ。全八巻の物語は、魔神ダークと彼に仕える魔法の指輪フラウ・スノウの交流を描くもので、城を抜け出して魔法のアイテムを拾ってくるダークを、生真面目なスノウがたしなめつつ、騒動に発展するという筋立てだ。だがそのささやかな楽しみも、突然、打ち切られることになってしまう。
ロボットは人間に目的を与えられる。だがその目的が、ある日突然奪われてしまったらどうなるだろう。目的のために生み出されたのにそれが無くなれば、存在価値もなくなってしまう。この三体のロボットは、そういう境遇から抜け出し、生きるために必死に行動をするのだ。
人間が生まれる時には、おそらくは特に目的はない。ただ生きること、それが生命の全てだ。何のために生きるのかという問いに対する答えは、死ぬ瞬間までを賭けて、見つけていくものだと思う。そしてアイリスたちも、そんな深遠なる問いに答えるため、必死に生き延びようとするのだ。
2020/08/30 15:18
優しい話
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オフェリア - この投稿者のレビュー一覧を見る
装画がかわいかったのに、いきなりアイリスの見た目に変化があったのでびっくりしました。
リリスの言葉は的を得ている言葉が多いです。
最後は心が少し暖かくなります。救いがあるお話です。あとがきから、著者が周囲の人から愛され、著者も周囲の人を愛してることが伝わってきます。きっと心優しい方なのだろうと思います。
電撃文庫はバリバリ戦いもののラノベが多い印象だったので、こういう作品も良いなと思いました。