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ダブルブリッド
著者 著者:中村 恵里加,イラスト:たけひと,イラスト:藤倉 和音
特異遺伝因子保持生物ー通称”怪(あやかし)”後を受け継ぐ少女、片倉優樹はその力と銀髪から「白髪頭」と呼ばれ恐れられていた。ある日、特殊部隊『EAT』へ協力中、優樹は1人の人間の青年と出会う。青年の名は山崎太一朗。『EAT』の一員である太一朗に直情的な言動に最初は不安感を覚える優樹であったが、徐々に彼の飾らない性格に好意を抱くように成なる。一方片倉優樹を付けねらう甲種”怪”が1人。その人物、3年前殺人鬼として日本を騒がせた高橋幸児と優樹とは浅からぬ因縁があった…。第6回電撃ゲーム小説大賞<金賞>受賞のホラーファンタジー、登場
ダブルブリッド
05/23まで通常605円
税込 303 円 2ptワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
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紙の本ダブルブリッド
2001/03/23 04:27
怪(あやかし)
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しおん - この投稿者のレビュー一覧を見る
第6回電撃ゲーム小説大賞・金賞受賞作品。電撃のサイトで受賞作発表時に、公開された粗筋からもっとも期待していた作品。
欧州のとある国で始めに発見された特殊遺伝子保有生物。日本では、彼らを「怪」(あやかし)と呼び、知性を持つ甲種とそれ以外の乙種に分けている。いわゆる大阪条約により甲種には人権が認められていた。
片倉優樹、彼女は、「怪」であり、日本国内閣総理大臣公認甲種指定生物であり、警視庁刑事部捜査第六課所属の巡査部長である。頭髪の色と、鼻が利くことから、彼女は「白髪犬」と呼ばれ、その能力ゆえに恐れられつつ、警察内部では嫌われていた。
優樹の所属する部署に、山崎太一郎巡査が出向してくる。六課は渋谷のとあるビル内にあり、その存在位置は秘密とされている。張り切る太一郎だが、警察内の人間としての面子の問題もあり、六課にはほとんど仕事が回ってこない。六課の室内に残ったおびただしい前任者の注意書きと、遺留品の数々。歴史を感じさせて物語の世界設定に奥行きを作り出していると感じる。
太一郎の申し出による、彼と優樹の組み手訓練。怪である優樹の圧倒的力の前に、上背では上回っている太一郎も完全に敗北。しかし、太一郎は優樹の格闘術の無駄を発見し、まだまだ強くなることを指摘する。このへんのエピソードは好き。努力で自分を高めていく人種と、手抜きでも余裕で高い能力を出す優位者との絶対的差。
太一郎と優樹の勤務描写。一人に偏ることなく、二人を同時並列的に心理描写していく巧さを感じる。目を失い、耳を食われ、ヒロインがずたずた。スプラッタな描写がライトノベルとしては目新しく新鮮。銃器関係に凝った作品はけっこうあるが、やりすぎるとオタク丸出し作品になるが、適切にやればリアリティが増す。銃器や格闘術など詳しく書き込んであり、作者が女性であることからやや意外に感じた。
「大阪条約」という設定用語(かっこいい)や、色々出てくる政治的な架空設定が作品の雰囲気をいい方向に盛り上げている。
優樹は容姿はハイティーンで止まっているが(背も低い)、年齢は26歳であるという設定。人生経験的な考え方などは頷けるが、やや台詞周りが幼い印象。しかし、独特な言葉遣いや台詞内容には魅力がある。
過去の作品を考えると、「退魔官 赤神恭也」(ことだこうたろう・電撃文庫)や、「闇色の戦天使」(神野オキナ・ファミ通文庫)あたりが連想された。
特に後者は主人公が異種であり、相手の人間との間の心の交流や葛藤を描く所など、テーマ的にもかなり似ているなと思った。
「ダブルブリッド」とは作品中に説明が出てくるが、ダブル・ハイブリッドの略らしい。優樹は怪の父と人間の母の間に生まれたダブルブリッドであるという設定。当然、生い立ちに関する人間的(あやかし的?)悩みも描かれる。
2008/12/12 20:28
しんみりとじんわり
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にい - この投稿者のレビュー一覧を見る
キャラクターの日常風景
優樹の少女時代
太一朗サイドの完結編
それぞれに味があり、情景を見せつつキャラクター心理が描かれ、しんみりとしつつじんわりとした暖かさがある
ハッピーエンドではないけれど、どこかに続いていくお話
紙の本ダブルブリッド
2002/08/08 11:45
「あやかし」が何だー!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヤーサン - この投稿者のレビュー一覧を見る
何か差別をはっきりと書いたような感じですよね。主人公ユウキを取り巻く環境が、すごく冷たく感じました。それを受け止めている本人もすごいし、「自分ってなんだろうな?」って思ってしまいました。
終盤になると、すごいグロテスクな場面が増えてくるんですけど、でもそうなのかな…って思ってしまいました。
これからどうなるのかがすごい楽しみです。
紙の本ダブルブリッド 10
2008/05/18 17:56
丁寧な解説で一応の決着
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にい - この投稿者のレビュー一覧を見る
いままでの流れを見失わないよう、丁寧に作りこんである
伏線を細かく回収して設定を解説し、ストーリーに決着をつけ、一応きちんとした形で纏まった
しかし、キャラクター達に意思がなく行動だけがあり、キャラクターだけが納得して終わった感じ
ほぼ主役不在の物語でした
紙の本ダブルブリッド
2001/03/13 16:24
この作品の根底に流れるものは愛である
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:太田コロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
第六回電撃ゲーム小説大賞金賞受賞。著者があとがきで書いているようにこの作品の根底には愛がある。
主人公、片倉優樹は通称 怪<あやかし>と呼ばれる特異遺伝子因子保持者。再生能力を持っているのにケガをするとひたすら痛そうである。化け物と呼ばれながら、そう呼ぶ人間の為に闘わなければならない優樹。なぜそうまでして闘わなくてはいけないのか、そう聞きたくなる。
それを救うのはもう一人の主人公、警視庁所属の山崎太一郎である。彼と彼女はお互いの立場と観念を越えて通じ合っていく。
この物語はやっぱり愛の物語なのである。
紙の本ダブルブリッド 3
2002/04/14 22:42
madeinChina
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:十二番目の男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
シリーズ第三弾。
中国から日本にやってきた親子連れ。だがその正体は中国の特務員と、大戦期に開発された人型兵器「ナタ(漢字が出ないのでカタカナで表記する。中国の古典文学である封神演義に登場するあのナタクと同じ字である)」。中国で人型兵器といえば先行者が有名だが、このナタは外見上まるきりただの少年である。日常適応訓練のため日本を訪れたナタだったが、あることをきっかけに自らの任務を思い出してしまう。その任務とは——
「私の任務は、大日本帝国陸軍の軍事施設を破壊することです」。
欠陥を抱えた人型兵器とダブルブリッド。二人は戦後五十年を経た日本国で激突する。
今回から、挿絵担当がたけひとになった。雰囲気はがらりと変わったが、かなりいいと思う。
紙の本ダブルブリッド 5
2002/04/15 21:55
BattleinKyoto
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投稿者:十二番目の男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一匹のアヤカシが殺された。京都で。復讐に走ろうとする現地のアヤカシ達をおさえ、同時に犯人を見つけるために、片倉優樹はかつて同僚だったアヤカシ帆村夏純と共に京都へ向かう。古都で二人を待っていたのは、非協力的なアヤカシと、あまり好意的ではない京都府警。捜査をすすめ、二人はついにアヤカシ殺しの犯人を見つけるが、それは意外な人物だった。そして戦いの中、優樹の体には異変が……。
シリーズ第五弾。今回の舞台は京都。わざわざ舞台設定を変えただけあって、随所にリアルな細かい描写が入っている。京都在住、あるいは京都によく行く人にとっては、何となくいい気分になれるだろう。京都に行ったことがない人にも、街の雰囲気が結構伝わると思う。
紙の本ダブルブリッド 4
2002/04/14 22:53
二人の日々の終わり、そして本当の物語の始まり
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投稿者:十二番目の男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
そもそも、物語の始まりは高橋幸児という一人のアヤカシであった。彼は片倉優樹を憎み、のろい、恨み、狙った。しかし一巻において彼は優樹に倒された。死んだはずの男、しかし彼は復活した。
高橋幸児の死体を乗せた輸送車が炎上し、事故現場から死体が消えた。一方、三ヶ月の出向期間が終わりに近づいた山崎太一朗は、ある決意を抱えて優樹のもとに向かい、彼女を公園へと連れ出すことに成功した。高橋を巡る因縁の地、代々木公園。そこで二人が見たものは、廃人のようになった高橋だった。死んだはずの男、高橋。彼の処遇を巡り、優樹と太一朗は対立する。そして太一朗はついに……
紙の本ダブルブリッド 2
2002/04/14 22:19
VSヴァンパイア
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投稿者:十二番目の男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
凄惨さと美しさが同居する奇妙な現代ファンタジーノベル「ダブルブリッド」の第二巻。オーソドックスな「一巻の続き」スタイルではあるが、一巻が単体で完結しているため、ストーリー的な繋がりは薄い。しかしながら、一巻を読んでおいた方が物語に入りやすいので、事前準備をおすすめする。
一巻から二週間後。アヤカシである片倉優樹は、仕事が終わった後、同僚の山崎太一朗と酒を飲んだ。体育会系の勢いで飲みまくりすっかり泥酔してしまった山崎を背負って帰る道で、優樹は首に血のついた女性を見かけた。女性の様子を訝る優樹の予感は的中し、一人の吸血鬼がはるばるオーストリアから日本にやってきたという連絡が届く。その吸血鬼、フレデリック・アシュトン・クロフォード。彼は優樹に一つの勝負を挑むのだった。そしてその背後ではなにやら怪しげな宗教組織が。
とかくグロテスクな描写が話題になりがちの本シリーズだが、この巻ではコミカルな描写が多くて面白い。泥酔した山崎太一朗はファン必見である。
紙の本ダブルブリッド
2002/03/08 12:07
直球ど真ん中
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:十二番目の男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一言で言うならば、グロテスク。丹念に(時々は恐ろしく荒っぽく)描写される肉体破壊のシーンは、人によっては受け付けられないかもしれない。しかしこの醜悪さが、電撃文庫をはじめとするヤングアダルト小説の主流になりつつある。勇者が剣を振り回す時代は、確実に終わりに近づいている。
ただグロテスクなだけならば、スプラッタ小説・ホラー小説に分類されるだろうが、ダブルブリッドがそれらに区分されないのは「グロテスク、だけじゃない」からだ。人間離れしたアヤカシ故の、凄惨な戦闘シーン。それに対応するように描かれているのが、あまりにも人間的な生活感とぬくもりである。
21世紀のヤングアダルト小説の方向性をうかがい知る上でも、参考になるであろう一作。独特の奔放な文体にも注目したい。