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6件
小さな国の救世主
著者 著者:鷹見 一幸 , イラスト:Himeaki
見渡す限りの大草原──。 中央アジアの辺境にあたるその地に、天山龍也はいた。「たしかに俺は、人とは違う体験をしたかったんだけど……」 治安の悪い国・セリカスタンで、パスポートも金も取られた龍也にできるのは途方に暮れることだけ。そんな彼の前に、サラサと名乗る美しい女性と、リューカというまだ14、5歳の可憐な少女が現れた。二人はある部族の代表だが、内乱が勃発した今では、政府に追われるお尋ね者だという。 「姫とお前で、セリカスタンに旅行に来た新婚さんに化けるんじゃ」 行く宛てもない龍也は、否応なしにその逃避行に巻き込まれ……!? “いまどきの救世主の物語” ここに開幕!
小さな国の救世主5 オツカレ賢者の巻
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小さな国の救世主 2 おざなり将軍の巻
2006/07/17 22:49
運を呼び込むのも実力
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
他人なんか誰も信じられない、とあなたは言うかもしれません。でも、そんなあなたでも、満員電車に乗ることに死の恐怖を感じることはないでしょう。だって、隣の人がいきなりナイフで刺してくるなどという状況を想定することはないでしょうから。一定以上のレベルで他人を信じることができる世界。それが平和な世界というもの。しかし、この物語の世界では、それは常識ではありません。
他民族国家で勃発した内戦。それぞれの陣営にはそれぞれの思惑とバックについている国の思惑があり、利権があります。実際、今でもあるだろうし、冷戦時代には良く見られた構造。不注意な行動と不運から、この内戦に巻き込まれた龍也は、たまたま小部族の軍師となり、様々な人の力を借りて戦車部隊から勝利をもぎ取ってしまいます。そして、今回は爆撃機が相手。
いつでも平和な世界に戻るチャンスはあったのに、それを捨てて死地に飛び込む。その選択はおろかともいえるし、助けられた側からは何よりも貴重なものでしょう。普通の人がしない選択をした人が歴史を作っていくのでしょうね。…大抵の場合は自分が死んで終わってしまう気もしますが。
小さな国の救世主 4 シャカリキ勇者の巻
2007/03/23 18:06
小国の意地
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:てっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
小さな国が大国に対して意地をみせる。昔ならそんなことは不可能だと思えたのに、現代ではインターネットの発達によってそんなことが実現する。こんないかにもありそうな話しだ。
現実では大きいものに対しては従うしかない、だけど発想によっては何かが変わるかもしれないそんな気分にさせてくれる。
小さな国の救世主 3 いまどき英雄の巻
2006/11/12 22:18
だって本当にそうなんだもん
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
トップに立つ人間には、実力以上に必要なものがあると思う。それは、運を引き寄せる力。実務能力は、優秀な人間を集めれば十分カバーできる。でも、運を引き寄せる力だけはそうはいかない。いくら最善を尽くしても、最後の歯車がきちんとかみ合わなければ全体は動き出しはしない。
達也の能力自体は、それほど飛びぬけたものではないと思う。自分にできることをやり、ただその想いをぶつけるだけ。でもその想いが、サラサを、サゴンを、ネリムやバンユーを動かし、ついには一つの国の方向性を変えてしまう。こんなに上手くいくわけがない、と言ってしまえばそれまでだけれど、そうは思わずに、自分の現実に基づいて行動するから、その揺るがなさに他の実力者がついてきて現実になってしまう。
これはハッピーエンドに見えるけれど、そうではない。セリカスタンの外では、市場原理という錦の御旗の下にさまざまな思惑がうごめいており、その干渉はこれからも続くはずだ。それをいかに乗り切るか、という大問題はまったく解決していない。物語はまだ続くみたいだけれど、どんな風に展開されていくのだろう。