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ただしさに殺されないために~声なき者への社会論
著者 御田寺圭
行き詰まる西欧近代、広がる格差、新型コロナウイルスによるパンデミックに動揺する2010年代末―2020年代の国内外の事象を取り扱いながら「多様性」「自由」「平等」を謳って差別する現代の闇を解き明かす。
ただしさに殺されないために~声なき者への社会論
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ただしさに殺されないために 声なき者への社会論
2022/08/13 19:01
啓蒙の光が当たらない場所へ
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Toshi - この投稿者のレビュー一覧を見る
近代以降の「個人主義・自由主義・資本主義」という物語がもたらす啓蒙の光が取りこぼしてきた大きな闇にスポットライトを当てた内容。 ウエルベックの著作や橘玲さんの著書が好みの方は特に面白く読めると思う。 この本を読んで、「時代錯誤で差別的だ」と感じるのであれば、その者はある意味おめでたい人間なのだろうなと思う。 近頃ネットワーク科学の進展によって、経済的な格差を始めとするあらゆる格差は実際のところ、より大きな「つながり格差」に端を発している事が明らかになっている。
さらに、グローバルかつ自由に誰とでもアクセスできるようになったが故に、全てを手に入れられる人間が現れる一方で、誰からも同僚・友人・配偶者・家族として迎えてもらえない人間が生まれ、その格差は大きくなっている。 そうした問題に対して「社会関係資本」が重要だと叫ぶ知識人やインフルエンサーは多いが、その資本を分配して、除け者にされた人達を暖かく身内として引き受けるという実際的な議論に入った瞬間、「個人の自由の侵害」や「不当で前時代的な搾取」という論理を利用して正当化を始める者が多い。
そうした主張に対して著者は、それがまかり通るなら、時折起きる暴動や事件も必要経費として払う覚悟がないといけないという指摘をしていて、ここまで核心に迫る事ができる姿勢に感銘を受けた。 また、終始著者の「私だけは何も見過ごしたりしないぞ」という強い決意と優しさを感じた。
2022/05/23 18:43
押さえておきたい1冊
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Torchwood - この投稿者のレビュー一覧を見る
在野の社会学論者である御田寺圭氏の著書第2弾。
ソーシャルワーカーとして働く著者の皮膚感覚が今作にも活かされている様に感じる。
目新しい知識を学べるというよりも、我々が目を逸らしている"社会の薄暗い側面"を突きつける内容。
全編において平易な言葉遣いが使われていて読みやすい。また、文章は短い節で区切られており日常のすき間時間に手軽に読むことができた。
わかりやすく、読みやすい。だが、突きつけられる事実はあまりにも重い。
それでも、多くの人に読んで欲しいと思える1冊だった。
ただしさに殺されないために 声なき者への社会論
2022/07/18 18:06
リベラルな価値観の闇
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コンドル街道 - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代の日本社会が「善し」としている価値観、それがもたらす闇に光を当てた書。
特に2章と3章は必読。高校生や大学生にこそ読んでほしい。因みに著者も高校生や大学生に読んでほしいもよう。