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新訂 孫子
『孫子』13篇は,中国最古のすぐれた兵書である.しかし,そこに記された戦略・戦術の論議における深遠な洞察は,ひろく人生全般の問題に適用しうるものである.新出土の竹簡資料との照合も経て,またさらに読みやすくなった新訂版.原文と読み下し文と現代語訳に平易な注を加え,巻末には重要語句索引を付してある.
新訂 孫子
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孫子 新訂
2006/10/09 19:04
すれるということ
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
高校時代に中国古典にかぶれて本書を読んだ。青春時代の幻想と妄想に満ちていた小生にとっては むしろ読んでいて腹が立つ本であったと記憶している。青春時代は 理想に燃える熱血少年だったということかと 20年以上経った今では 当時の自分が懐かしい。
ところで それから20年経ち 社会に出て 色々すれた後の最近に本書を読み返した。
全く腹が立たない。
実社会を経験したあとに本書を読むと はたと膝を打つばかりである。勿論小生は戦争が職業ではないし そもそも戦場に行ったこともないわけであるが それでも読んでいて感に堪えないのが本書である。
つまり 戦争や戦場は現実社会の一局面であり 一方 我々の実社会も戦場の一面は常にあるわけであり 従い 読んで得られる所が多いわけである。ビジネス書で孫子の特集などが組まれているわけだが なるほど こんなに面白いのであれば 当然である。
それにしても 本書を読んで腹が立った時代があった。年を取るということは 陳腐ながら 何かを失うことでもある。
孫子 新訂
2007/05/18 17:02
合理的な社会行動の指針
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Akio - この投稿者のレビュー一覧を見る
「戦わずして勝つのが理想である」とか,「戦う前に敵・味方を熟知せよ」とか,「主導権を取れ」とかいう教えは,戦時のみならず平時における社会行動の教えとしても極めて合理的なものだ。
「戦わないのが理想である」という教えなどは,老子の思想にも似ていて,興味深い。
「包囲した敵軍には必ず逃げ道を開けておけ」,「進退窮まった敵をあまり追いつめてはならない」という教えは,そういうことをすると敵は決死の覚悟で最大の反撃をしてくるから危険だ(死を覚悟した兵は最強だと言われる。)ということだろう。一般社会で相手を追いつめるような場合にもよく妥当する教えだ。
ちなみに,この教え,囲碁の戦法にもよく当てはまる。囲碁では,「攻めることは逃がすこと」という教えがある。攻めることは敵石を取ることではない。攻めながら別の利益を目指しなさい,という教えだ。敵を封鎖して本当に取りに行くのは,危険が多いのである(「取ろう取ろうは取られの元」)。
また,「敵のスパイを捕らえたら殺してはならぬ。厚遇して,二重スパイとして利用せよ」という教えなどは,現在でも世界中の諜報機関において実行されている諜報戦の常套戦法である(それゆえ,スパイには必ず見張りのスパイがつく)。
孫子 新訂
2006/01/29 22:22
現代にも通用する経営戦略や処世のヒント集
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:未来のための哲学講座・主宰者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
【把握すべき状況とは何か。己を知り、敵を知り、そして・・・】
戦いに勝つためには、状況分析が必要だ。ここで、知るべき状況とは、いったい何か。
まず自分の実力、そして手持ちの人材の力量をありのまま評価すること。これを知らないで戦いに挑むようなことがあれば、失敗するのはあたりまえである。力不足のときは、競合相手に気づかれないように、実力を蓄えよ。
しかし、注意せよ。あなたにどんなに実力があったとしても、つねに戦いに勝てるとは限らない。なぜか。
戦いには、相手がある。相手の状況を知ること。勝てるという状況をするどく見抜くこと。これが、状況を知るということなのだ。すなわち戦いに勝つということは、すでに負けている敵に打ち勝つということに他ならない。
しかしこれだけでは、まだ、必ず勝てるとは限らない。なぜか。
自分も相手もその中で生きている、この現在という時代の状況を、知らなければならない。もし、あなたが何かを成し遂げようと思ったら、それが大事業であればあるほど、今自分が生きている時代と、その中で自分がどのように働かなければならないのかという状況を熟知し、それに合わせるようにしなければならないのだ。
結局のところ、戦ってよいときと戦ってはいけないときを知っている者は、つねに勝ち続けることができるのである。
(『孫子』←孫武?(BC500頃)孫ヒン?(B.C.340頃))
※「未来のための哲学講座」主宰の真木ゆうきです。汲みつくせない先哲の知恵の中からたった一つだけ、ご紹介いたしました。これは、著者自身の理解と解釈により、できる限りわかりやすく再構成してみたものです。本書を知るためのきっかけとして、ご利用下さい。