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自省録
著者 マルクス・アウレーリウス (著) , 神谷美恵子 (訳)
あたかも一万年も生きるかのように行動するな.生きているうちに,許されている間に,善き人たれ──ローマ皇帝でストア派の哲人マルクス・アウレーリウス(121-180).多端な公務に東奔西走しつつ,透徹した目で自らを内省した記録は,古来,数知れぬ人々の心の糧となってきた.神谷美恵子の清冽な訳文に,新たな補注を加えた.(改版)
自省録
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自省録
2005/10/26 01:15
生きる力を与えてくれる一冊
18人中、16人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:未来のための哲学講座・主宰者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんにちは、「未来のための哲学講座」主宰の真木ゆうきです。
私たちは、たった一つの真実を知っているかどうかによって、困難な課題を解決するためのヒントを得たり、また大きな夢や希望を与えられる場合があります。この本もあなたにとって、きっと、そんな一冊になってくれると思います。
汲みつくせない先哲の知恵の中から、たった一つだけですが、ご紹介いたします。(ご注意:以下は、著者自身の理解と解釈により、できる限りわかりやすく再構成したものです。気に入ったら、ぜひ本書に挑戦してみよう!)
【あなたが手を打つことができるのは、この現在という瞬間だけである。すべてのことは日々順番にやって来る。今日できる最善のことを考えよ!】
ああ、これからどんな大変なことが待っているのやら、心配でたまらなくなったら思い出せ。あなたが手を打つことができるのは、つねにこの現在という瞬間だけであることを。どんなに大変なことでも、必ず順番にやってくる。
今できることは、何だろう。今できる最善のことは、何だろう。こう考えて、個々の行動ができるかぎりその目的を果たしているのならば、あなたはそれで満足すべきなのだ。いや、これこそがまさに最善ということなのだ。どんな困難な状況にあっても、あなたがこのように考え、そして行動するのを妨げる者はだれもいない。
そして明日のあなたは、もし必要ならば、いま用いているのと同じ理性をもって、また現実に立ち向かってゆくだろう。
(マルクス・アウレーリウス(121-180))
自省録
2004/01/05 20:36
我が世を得たり
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:濱本 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
かのプラトンは言った。「哲学者の手に政治をゆだねることを理想とする」と。これが実現した時代が有史以来1回のみあった。マルクス・アウレリウス統治下のローマである。本書は、彼の信条を伝える随筆集である。読んでいて、全体で何を述べたかは、理解出来なかったが、一つ一つの随筆は、それぞれ奥があり、いちいち納得させられる内容であった。
dog earを付した箇所を何ヶ所か紹介して、「MY IMPRESSION」としたい。
彼は、祖父、父、母、曽祖父、家庭教師、それぞれの知人からの影響を文章で本書の一章でまず述べる。私は、その一つ一つがそれ程重要であると思わない。ただ、廻りの人々からの良い影響を連綿と綴れる事は素晴らしいことだと思う。
「公益を目的とするのでないかぎり、他人に関する思いで君の余生を消耗してしまうな」。本書を通じて「個」の確立への価値観がにじみ出ているが、この部分は、これを明言していると思う。自分の思うようにならないのが他人なのである。
「自分が誠実に、謙遜に、善意を持って生活しているのをたとえ誰も信じてくれなくとも、誰にも腹を立てず、人生の終局目的に導く道を踏み外しもしない」。ここでも「個」の尊厳を述べている。
「隣人がなにをいい、なにをおこない、なにを考えているかを覗き見ず、自分自身のなすことのみに注目し、それが正しく、敬虔であるに思う者は、なんと多くの余暇を獲ることであろう」。私は、みんなが忙しく自分の時間を忙殺している姿を見るに絶えない。この言葉は、私の正しさを証明している。
「…自己の(人格の)構成に従ってあるいは活動し、あるいは活動を控えることである」。何を行なうべきかを述べている。すなわち、自らが発した活動を行ない、また自らが控えるべきと発した活動は、控えるべきなのである。ここでも「個」の尊厳が見える。
「人に助けて貰うことを恥じるな」。ここで、私は、TVドラマ「俺たちの旅」を思い出す。「一生懸命生きてみろ。そうすれば、誰かが手を差し伸べてくれるのだ」(カースケの息子に対する言葉)。そうなのである。自分が精一杯やったならば、どこかで助け舟が出てくるものなのである(私の経験から)。
「存在しないものを、すでに存在するものと考えるな。それよりも現存するものの中からもっとも在り難いものを数え上げ、もしこれがんかったら、どんなにこれを追い求めたであろうかということを、これに関して忘れぬようにせよ」。そうである。有るものに着目すると「幸福」はそこにある。「無い」ものに着目すると永遠に「幸福」は訪れない。
この他にも沢山共感出来る記述はあったが、ここで留めておく。纏めてみると、マルクス・アウレリウスの主張することは、私の信ずるものと相通じる。本書は、ネパール・ランタン谷の快晴のもと、心地よい風にあたりながら、読み終わったもので、最高の自然の中での読書という至福の時を私に与えてくれた。本書を紹介してくれた岸原さんに感謝したい。
2022/02/25 16:22
現代でも十分通用する内容
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:路傍の石 - この投稿者のレビュー一覧を見る
Eテレの100分de名著で紹介されていた作品です。ありとあらゆる思想や概念、法則が明らかにされ続けている現代と違って人類の黎明期と言って良い時期にこれ程人間に対する洞察力に優れた人物がいた事は大きな驚きでした。時代を経た言葉の確かな重みを感じられる名著です。