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51件
モモ
著者 ミヒャエル・エンデ作 , 大島かおり訳
時間どろぼうと,ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子モモのふしぎな物語.人間本来の生き方を忘れてしまっている現代の人々に〈時間〉の真の意味を問う,エンデの名作.
モモ
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モモ
2009/08/26 15:26
本質を見失った近代化への反省
18人中、17人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆきはじめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
分野を絞らずに気の向くまま読んでいた何冊かの本の中で偶々紹介されている、この「時間泥棒」の話を一度読んでみたいと探していましたが、仕事帰りに立ち寄った書店で見つけた子供の本コーナーの棚には2冊並べられていました。30年以上前に和訳されたものがいまだに人気のようです。
大都会の街はずれでおおらかな仲間達と暮していたモモが、時間の支配人の代わりにカメに導かれ、時間泥棒組織に盗まれた「時間の花」を取り戻す話は、もっともらしいけれど根拠の無い常識をすり込まれて、余裕を省いた気持ちで忙しく流されている社会において、本質を見失った近代化への反省と、スローライフによる自己実現への憧れを思い起こさせます。
幸せって何でしょうか。
モモ
2008/04/19 12:59
現代人への痛烈な批判
14人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナンダ - この投稿者のレビュー一覧を見る
時間を節約し、忙しく働き、楽しいと思ったり夢中になったりすることがなくなり、無気力になり、合理性を求めて町は画一的になり、電飾で彩られる……。
休日のレジャーでさえも「無駄」を廃し、静寂やヒマをおそれる。「時間の音を聞く、時間を感じる」ことができなくなる。
現代人の生き方への痛烈な警鐘である。ゆったり流れる時間を感じる心をいつまでも持っていたい、心から泣いたり笑ったりできる感性を持ち続けたいと思わせられる。
「有益な生き方」という考え方もいいけれど、生きることじたいを楽しみ慈しむことはできないのか。「社会の矛盾をただしたい、それが生き甲斐だ」という考え方でさえ、自分の心の扉を開いて生を享受していないぶん、弱いと思う。
たぶん、何かの命とふれあい、自分の心がビリビリとふるえる体験を積み重ねる必要があるのだろう。
モモ
2016/02/26 09:36
忘れられない本
12人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:em Deco - この投稿者のレビュー一覧を見る
小学生の時、学校の図書館で手に取り読んだ本。
ファンタジー好きだったので、導入はたやすかったものの、内容は単なる夢物語では終わりません。夢中になって、返却期限日まで何度もよみかえしました。
この時の潜在記憶からか、大学では第二外国語としてドイツ語を選び、エンデの作品を原文で読むようにもなりました。
時間どろぼうは今や大人の世界だけじゃなく、子供たちの世界にも迫ってきています。私はモモみたいな人にそばにいてほしいし、モモのようになりたい。
たくさんの大人に、ゆっくりと、時間貯金なんてせずに読んでもらいたい本です。
それから、ぜひお子さんに渡してあげてください。