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開かれた社会とその敵
著者 カール・ポパー(著) , 小河原誠(訳)
ナチズムの虎口を脱したポパー(一九〇二―九四)は,亡命先のニュージーランドで,左右の全体主義と対決し,その思想的根源をえぐり出す大著の執筆に着手した.その第一巻では,プラトンを徹底的に弾劾,大哲学者を玉座から引きずりおろすとともに,民主主義の理論的基礎を解き明かしていく.政治哲学上の主著の全面新訳.全四冊.
開かれた社会とその敵 第二巻 にせ予言者――ヘーゲル、マルクスそして追随者(下)
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開かれた社会とその敵 第1巻下 プラトンの呪縛 下
2024/02/18 22:16
厳しさを増すプラトン批判
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マルクス・アウレリウス - この投稿者のレビュー一覧を見る
ポパーのプラトン批判のトーンはますます鋭さを増す。プラトンを愛する者として、複雑な思いは禁じ得ないが、プラトンにラディカルなところがあるのは紛れもない事実であり、いくつかの点で首肯せざるを得ない。ソクラテス、デモクリトス、ペリクレスについては比較的好意的で、古典ギリシアを敬愛する私にとってはうれしかったし、リュコプロンやパレアス、アンティポンなどマイナーな思想家にも目配りがなされているのは驚きだ。プラトン批判の全てに同意することはできないが、ポパーの民主主義やピースミールな社会改革に対する信念は一貫しており、その誠実さは賞賛に値するし、まさに民主主義が困難に突き当たっている現在読まれるべき書であり、未来においても読まれるであろう。
開かれた社会とその敵 第1巻上 プラトンの呪縛 上
2024/02/11 01:15
プラトン批判の書
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マルクス・アウレリウス - この投稿者のレビュー一覧を見る
「神のごとき」と称されたプラトンを、全体主義の元凶として批判する。プラトン研究者からの反論も多くあるように、ポパーの批判にはやや首を傾げるところもないわけではないが、その論旨は一貫しており、首肯せざるを得ないところも多々ある。素直に読めば、プラトンの反民主主義的傾向やエリート意識は明白なわけで、ポパーの批判もやり過ぎとまでは言えないと思う。いずれにせよ、2000年以上にわたって賛否両論を巻き起こすプラトンはやはり偉大だ。そして様々な問題を抱える現代民主主義社会を生きる我々にとっては、プラトン、ポパー両者から学び、考えることは多い。
開かれた社会とその敵 第2巻下 にせ予言者 下
2024/03/10 04:04
至極真っ当な主張
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:マルクス・アウレリウス - この投稿者のレビュー一覧を見る
ポパーの主張は、そのプラトン、ヘーゲル、マルクス批判の舌鋒の鋭さにもかかわらず、穏当で至極真っ当なものだ。語弊を恐れずに言えば、つまらない、と言ってもいい。プラトンを愛読する者としては、その天才的なひらめき、流麗な文体、哲学的な理想と構想力に惹かれるのであるが、同時にその危険性(特にその亜流の)への指摘ももっともだと考える。ポパーのような批判者は必要であるし、批判を通じて進歩があるのだろう。ヘーゲルやマルクスは専門外だが、素人でも何とか読めた。膨大な注も含めて大作だが、味わい考えて読める価値ある書物だと思う。