西洋書物史への扉
著者 高宮利行(著)
中世の写字生,グーテンベルクをはじめとする印刷術の立役者,あるいは蒐集家,偽作者,伝統を守ろうとした改革者たち・・・・・・.いつの時代にも,書物を愛し,あたかも書物に愛されて生きているような人々がいた.巻物から冊子へ,音読から朗読へ,書物と人が織りなす世界を楽しみながら,壮大な迷宮を旅する.カラー口絵四ページ.
西洋書物史への扉
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
西洋書物史への扉
2023/06/01 13:59
昔は音読が主だった
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本によると、音読、朗読から黙読に移行してのは、そんなに昔のことではなかったらしい、ワーズワースの妹はカンタベリー物語を声を出して読んだと日記に記しているらしい、内容が猥雑のものだったにもかかわらず
西洋書物史への扉
2023/03/02 23:04
言及はあるけれど
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
何故かユダヤ教徒の文献についての言及が極端に少ない。「西洋書物史」と題する書物ならばユダヤ教徒によるヘブライ語やアラム語などになる写本やユダヤ教徒の業者なりキリスト教徒の業者がユダヤ教徒向けに刊行した印刷本について触れるべきだ。
そこを除けば楔形文字の粘土板からヴィクトリア朝あたりまでの文献のあり方を楽しく読める。パピルスに書かれた文書について研究者は現存する写本で見ているから書かれていた時代の人々が書いた内容が理解出来なかったのだろうか。
図版が多いので、なるほどここはこういうものなのだな、と分かる。
古代ローマで書籍の形態が巻物から冊子本に移行したのはキリスト教の書物が関わったというのは田川建三の「書物としての新約聖書」にも出ているが、この本にはC.H.ロバーツはマルコ伝の著者が冊子本で書いたかもしれないと論じたとは触れていない。「書物としての新約聖書」は新約聖書が巻物として成立したと論じている本なので、「オキャラハンの発見」込みで田川建三が評価しているC.H.ロバーツの議論に触れると矛盾してしまうからだろうか。もっともここは田川建三が知らないのかもしれないし、田川の方が正しいとは思うが。