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愛の絵
著者 中野京子(著)
名画に込められた、あふれる感情の波。ドラマチックな愛と、幸福への欲求は不変――画家たちは描かずにいられなかった。一目惚れ、狂恋、嫉妬、快楽、死への誘い・・・・・・これもまた、愛なのか。西洋美術の歴史を通じて重要なテーマだった愛は、各時代、さまざまな形で表現され続けている。当時の風俗、文学、神話、旧約聖書などから題材がとられ、画家のインスピレーションを刺激して芸術の価値を高めてきた。時代が移っても変わらない、人間が抱く欲求や希望。ロマンチックな空想や情熱的なものだけではないその感情は、喜び、幸福、満足感をもたらして人々を惹きつける。派生して、呪いや嫉妬、怒りも。愛とはなにか、を考えさせられる作品52点をフルカラーで解説。 [本書の構成]第1章 甘美な恋への憧れ 第2章 そして、狂気へ 第3章 子どもをめぐる愛 第4章 運命の絆
愛の絵
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愛の絵
2023/12/30 17:46
愛は複雑
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
愛というものの様々な形が垣間見える一冊。
再婚で迎えたエレーヌを溺愛したルーベンス
あの時代、これだけ妻を描いた画家は珍しい。
そのエレーヌはルーベンスの死後に再婚。
その後夫は貴族に、生まれた息子は大政治家に。
画家の王たるルーベンスの非凡さがエレーヌを通して男たちに受け継がれたようにさえ思える不思議。
ブクローが描く幼いアモルとプシュケーのあどけないゆえにエロスを感じる一枚。
アレクサンダー画のイザベラ
死と狂気を孕んだひんやりとしたエロチシズム
母マリア・テレジアの天敵フリードリヒ大王を英雄視したヨーゼフ二世
こういうところはどこかマリー・アントワネットに似ている気がする。
さすが兄妹。
「星たちを引き連れた夜」
夜の甘やかさと優しさ、そして容赦のない一面を描いた美しい一枚。
思わず見とれてしまう魅力がある。
絵以外のエピソード
我が子を不倶戴天の敵のように見る筆者の知人、自分が死んだら愛犬たちを安楽死させるようにと遺言を残す王族
…愛の歪みは背筋を寒くさせる。
時には悲しい愛の豊かさと複雑さが詰まったこの本 大変読みごたえがあった。
続編をぜひ読みたい。