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19件
鯖猫長屋ふしぎ草紙
著者 田牧大和(著)
長屋で一番えらいのは猫!? だとすると、長屋で起こる奇怪な事件を解決するのは、いったい・・・・・・。江戸の根津宮永町にある「鯖猫長屋」は、鯖縞模様の三毛猫が一番いばっている長屋なので、そう呼ばれている。サバという名の、長屋を“仕切る”不思議な美猫(いろおとこ)は、炊きたての白飯しか食べない超わがままもの。そんな長屋に、わけありの美女や怪しげな浪人者が越してくる。次々に起こる不可解な事件に、途方に暮れる長屋の面々。そこに「成田屋」の異名をとるイケメン同心も登場。サバの飼い主である猫専門の売れない画描き・拾楽が、事件を解決しようとするのだが――。解説の時代劇評論家・ペリー荻野氏も、続編とドラマ化を切望! 心がほっこりあたたまる、大江戸謎解き人情ばなし。丹地陽子さんがカバーに描いたサバの凛々しい姿に、一目ぼれすること間違いなしの、猫小説です!
鯖猫長屋ふしぎ草紙(十一)
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鯖猫長屋ふしぎ草紙 2
2023/08/30 21:55
振り返れば猫がいた
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
前巻が面白かったので、シリーズ2巻目の本作に足を踏み入れることにした。
よくある江戸の裏長屋の店子たちの人情もの、という側面もあるが、本シリーズの醍醐味は、主人公である猫描き拾楽の隠された秘密と、そのことが様々な異質な人間たちを長屋に引き寄せ、事件が起こるという設定だ。
さて本作では、またも正体不明の人物の独り語りが舞台の幕開けを告げる。
この独り語りが独特な味わいをこのシリーズに与えつつ、舞台の袖でつぶやく狂言回しのような役割も果たしていることから、江戸庶民の最大の娯楽であった芝居小屋の雰囲気を濃厚に放っている。
独り語りが終わると同時に舞台は一瞬暗くなり、そしてぱっと鯖猫長屋が現れる・・・という印象を読者に与えるのが舞台的な味わいがある。
本作の敵役は、またも拾楽の過去に関わりのある人物らしい。前作と同様、この影の人物は別の顔で表舞台にすでに登場しているようだ。この人物の正体を見極められるかどうかが、次々と起こる事件の解決の糸口になる。
そしてこのシリ-ズに輝きを添えるのがハシバミ色の瞳ですべてを見通す力を持つ鯖猫の「大将」ことサバである。肝心な場面になると首筋の毛を逆立てたり、瞳をきらめかせたり、「なーお」と合いの手をいれる。どれも実にいいタイミングでついつい顔が綻んでしまう。
実際猫というのは人間の目に見えないもの、耳に聞こえないものが感知できる能力があるのは猫好きな皆さんにはお馴染みのこと。
閉じた扉の向こうに神経を尖らせ、聞き耳を立てているときは絶対何かいるのだ。
「暗い廊下になんか何もいないよね~」と恐る恐る私たちが問いかけても、猫は真剣な顔でわずかな気配を探っている。
「何もいないと思いたいならそういうことにしとこう」なんて猫は腹の中で呟いている。
たとえそれがゴキブリのささやきであっても、猫にとっては重大事件なのだ。
鯖猫長屋ふしぎ草紙 1
2023/04/30 20:45
読んで正解!猫と愉快な仲間たち
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
星の数ほどある時代小説シリーズのなかで、猫が準主役(もはや主役といってもいい)だという点に惹かれて手に取って見た本作。
かなりの面白さで、あっという間に読んでしまった。
なんといってもその語り口が軽妙で、寄席で長屋ものの落語でも聞いているように、知らず知らず作者の世界に引き込まれていた。さらに時代小説の彩りともいうべき季節の移り変わりも、長屋の行事とともにしっかりと描かれサバたちに花を添える。
いや、ドラマ化されていないのが不思議なくらいの面白さじゃないか。
サバ役はかなり大変だろうけど・・・。
しかしいつも思うのだが、貧乏と言えども、時代小説のなかの長屋の店子たちのなんとおせっかいであり、踏み込むべきでないところはしっかり引くという人との間合いの取り方のうまさだろう。押しと引きを見事に使い分ける彼らをいちど現代に連れてきてみたいと思うのは自分だけか?
鯖猫長屋ふしぎ草紙 6
2019/03/25 19:13
大将は大将!
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かごめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
相変わらす、ネコ離れしてる大将があとがきまで書いてる活躍ぶり。