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巨大システム 失敗の本質
著者 クリス・クリアフィールド , アンドラーシュ・ティルシック
あらゆる破滅に通じるヒューマンエラーと
その解決策を導き出す
企業存続のバイブルが誕生!
フィナンシャル・タイムズとマッキンゼーが選び、35歳以下の俊英に贈る
「ブラッケン・バウアー賞」受賞作、待望の邦訳。
<本書でとりあげた「メルトダウン(組織の壊滅的失敗)」事例>
・ハッシュタグで炎上したスターバックス
・フォルクスワーゲンのディーゼル排出量偽装
・スティーブ・ジョブズの「なにがなんでも着きたい病」
・福島第一原発防波堤の高さ設定判断方法
・アカデミー賞のクレイジーな誤発表
・勝手に止まるジープチェロキー
・逸脱が標準化したチャレンジャーとコロンビア …etc.
<内容紹介>
●21世紀を生きるためには、電力網から浄水場、交通システム、通信ネットワーク、医療制度、法律まで、私たちの暮らしに重大な影響をおよぼす無数のシステムに頼るしかない。だがときにシステムは期待を裏切ることがある。これらの失敗や、メキシコ湾原油流出事故、福島の原子力災害、世界金融危機などの大規模なメルトダウン(組織の壊滅的失敗)でさえ、まったく違う問題に端を発したように見えて、じつはその根本原因は驚くほどよく似ている。
●複雑で結合されたシステムを運営するには、直感や自信を称え、よい知らせを聞きたがり、自分と見た目や考え方の似た人たちと過ごすことを好むといった「人間の本能や直感」に“逆らう”ことが、有効な対策を導き、問題解決のアイデアをもたらすことを示す。
●『LIFE SHIFT』のリンダ・グラットンも審査員を務めた、フィナンシャル・タイムズとマッキンゼーが選ぶ、35歳以下の俊英に贈られる「ブラッケン・バウアー賞」受賞作。
巨大システム 失敗の本質
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巨大システム失敗の本質 「組織の壊滅的失敗」を防ぐたった一つの方法
2020/01/14 18:11
巨大システムの危険性を理論的に解明する名著
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書では交通(鉄道の運行管理、航空機の管制など)や金融、原発、巨大プラントなどの巨大システムの組織的崩壊に至るトラブル全般を「メルトダウン」と呼び、それが起きやすい状況を整理して、どう防ぐのかを様々な事例を紹介しつつ説明しています。
例に挙げた巨大システムは、効率化を追求すればするほどより巨大に、複雑、過密になっています。数多くの要素が複雑に関係しあう「複雑系」であり、かつそれぞれの要素間の繋がりに時間的余裕の少ない「密結合」である事が、メルトダウンを起こしやすいシステムの特徴であると述べています。
システムが巨大になってもオペレーター一人が把握できる視野、領域には上限があるためにシステムの運営に数多くの人が関与することになった結果、誰一人としてシステムの全体状況を正確に把握できないケースが最も危険であるとしています。
確かに航空機の管制では遥か数百km先の航空機の状況をモニターで監視しますが、巨大空港周辺の空域は管制官毎に細分化されていますし、管制官も自分の担当空域に関しても直接目視はできません。
原発の運転では高温・高圧・放射能で炉心の状況は各種センサーの数値を読み取ることでしか情報が得られません。この様なシステムの運営で、いかに「複雑系」をより「単純化」させ、「密結合」を「ゆるい結合」にするかというのが本書のテーマです。
「小さな兆候を見逃さない」、「多様性(ダイバーシティ)のある組織作り」、「円滑なコミュニケーション」等、システムが崩壊する前に必ず発する兆候を確実に掬い取るための組織作りの指針が具体的な例をもとに説明されています。
技術的な切り口というよりは、組織論に軸足を置いた内容です。著者の考えはオーソドックスで目新しい部分はありませんが、昨今の巨大システムのトラブルを目にして漠然と感じていた危なっかしさを的確に描き出している印象でした。
2025/02/04 18:14
巨大システムの危険性を理論的に解明する名著
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書では交通(鉄道の運行管理、航空機の管制など)や金融、原発、巨大プラントなどの巨大システムの組織的崩壊に至るトラブル全般を「メルトダウン」と呼び、それが起きやすい状況を整理して、どう防ぐのかを様々な事例を紹介しつつ説明しています。
例に挙げた巨大システムは、効率化を追求すればするほどより巨大に、複雑、過密になっています。数多くの要素が複雑に関係しあう「複雑系」であり、かつそれぞれの要素間の繋がりに時間的余裕の少ない「密結合」である事が、メルトダウンを起こしやすいシステムの特徴であると述べています。
システムが巨大になってもオペレーター一人が把握できる視野、領域には上限があるためにシステムの運営に数多くの人が関与することになった結果、誰一人としてシステムの全体状況を正確に把握できないケースが最も危険であるとしています。
確かに航空機の管制では遥か数百km先の航空機の状況をモニターで監視しますが、巨大空港周辺の空域は管制官毎に細分化されていますし、管制官も自分の担当空域に関しても直接目視はできません。
原発の運転では高温・高圧・放射能で炉心の状況は各種センサーの数値を読み取ることでしか情報が得られません。この様なシステムの運営で、いかに「複雑系」をより「単純化」させ、「密結合」を「ゆるい結合」にするかというのが本書のテーマです。
「小さな兆候を見逃さない」、「多様性(ダイバーシティ)のある組織作り」、「円滑なコミュニケーション」等、システムが崩壊する前に必ず発する兆候を確実に掬い取るための組織作りの指針が具体的な例をもとに説明されています。
技術的な切り口というよりは、組織論に軸足を置いた内容です。著者の考えはオーソドックスで目新しい部分はありませんが、昨今の巨大システムのトラブルを目にして漠然と感じていた危なっかしさを的確に描き出している印象でした。