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2件
ドゥームズデイ・ブック
著者 コニー・ウィリス (著) , 大森望 (訳)
〈ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞受賞〉14世紀にタイムトラベルしたオックスフォード大学の史学生キヴリンを待ちうける恐るべき試練とは?
歴史研究者の長年の夢がついに実現した。過去への時間旅行が可能となり、研究者は専門とする時代をじかに観察することができるようになったのだ。オックスフォード大学史学部の史学生キヴリンは実習の一環として前人未踏の14世紀に送られた。だが、彼女は中世に到着すると同時に病に倒れてしまった……はたして彼女は未来に無事に帰還できるのか? ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞を受賞した、タイムトラベルSF /掲出の書影は底本のものです
ドゥームズデイ・ブック(下)
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ドゥームズデイ・ブック 上
2015/09/28 18:07
出だしはまったり
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:flamekissflower - この投稿者のレビュー一覧を見る
いかにもSFチックな感じで、歴史専攻の女学生が自分の専門の年代へタイムスリップしていって、全然雰囲気の違う現在と過去が並行して進行していきます。上巻は細かい出来事がつまびらかに書かれているので全体での意味合いがつかめず、対象物に目を近づけすぎていて肝心の品物が何なのかわからないもどかしさを感じました。なので上巻の70%くらいまでは惰性で読み進めていましたが、だんだん登場人物たちへの理解が進むにつれて物語にひきこまれ、下巻に続くあたりで劇的な展開がはじまり、下巻からは目が離せず朝3時まで読んでしまいました。
生活がリアルに表現されていて、自分がタイムスリップしたような気分、鳥インフルエンザで病院に隔離されたような気分が味わえます。過去と21世紀で隔たりはあるものの、物語の展開されている場所は本当に狭いんです。地味なお話かも。でも深いお話でした。
ドゥームズデイ・ブック 上
2015/11/24 22:00
ウィリスの上手さに酔いしれる
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヤン - この投稿者のレビュー一覧を見る
熱心なSF読みではないとはいえ、このような傑作を読み逃していた自分を恥じたい気分だ。
時は2054年、タイムトラベルが可能となった時代。オックスフォード大学の史学部生キブリンは、研究のため14世紀へと旅立つ。だが、あらゆるトラブルが重なり、無事にたどり着けたか分からない事態に陥ってしまう。キブリンの安否を確かめようと、文字通り必死に走りまわる主人公ダンワージー教授。
しかし、正体不明のウィルスが蔓延し、隔離状態となる。一方のキブリンも、とんでもない危機に陥ってしまい…はたしてダンワージー教授は、無事にキブリンを現代へと回収することができるのか、というのが大まかなストーリーだ。
そう、いってみれば単純な話なのだ。これだけの話を、ウィリスは丁寧に丁寧に描いていく。もしかすると、遅々として進まない展開に、読者は苛立ちを覚えるかもしれない。だが、そこを何とか耐えて欲しい。これこそがウィリスの最大の持ち味といっていい。前半部分の執拗な繰り返しや書き込みが、後半じわじわと効いてきて、怒涛の感動へとつながるのだ。まさにウィリスマジックとしかいいようがない。
もうひとつ特筆すべきは、ウィリスの描く、子供の造形の上手さだ。本作でも、ダンワージー教授の手足となって奔走する少年コリン、また別作品ながら「航路」に登場する少女メイジーなど、ともすれば陰惨な話が展開されるなかで、彼らに救われる場面は、決して少なくない。まさか、こんな小生意気な少年と、こまっしゃくれた少女に泣かされるとは思ってもみなかった。
さあ、圧倒的なリーダビリティを誇るウィリスの手腕に酔うがいい。その結末は必ずあなたの胸を打つに違いない。

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