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オランダ靴の秘密
著者 エラリイ・クイーン (著) , 宇野利泰 (訳)
大病院の手術台の上で、今まさに執刀されようという患者が首を絞められ殺されていた!被害者は病院の創設者であり、遺産相続をめぐる容疑は病院内部に向けられたが、やがて第二の殺人が起った!あらゆる手がかりを提示し、フェアプレイの精神で読者に挑戦する本格中の本格ミステリ。
オランダ靴の秘密
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2019/06/01 09:38
推理小説として楽しめるけど、翻訳本の質はちょっと残念
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『オランダ靴の秘密』(1931)はエラリイ・クイーンの国名シリーズ第3弾で、舞台はオランダ記念病院。今まさに手術を受けようとしていた患者が手術控室でわずかな時間の間に針金で絞殺されてしまいます。被害者は病院の創設者でもあるアビゲール・ドーンという老婦人。遺産相続を巡り、彼女の厚い庇護を長い間受け続けていた外科医のフランシス・ジャニー博士に嫌疑の目が向けられますが、間もなく彼も病院の自室で同じ針金で絞殺されてしまいます。ドーン夫人と口論が絶えなかったという家政婦のサラ・フラー、ドーン夫人から相続することになる遺産を担保に借金を重ねていた放蕩男の弟ヘンドリック・ドーン、ドーン夫人からジャニー博士を介して研究費を得ていたモリッツ・ナイゼル博士、第一の事件当時のジャニー博士と会談をしていたという謎の男スワンソンなど、それなりの動機を持つ人物や怪しげな人物は複数いて、妙に秘密主義で証言を正直にしない関係者たちによって捜査は難航します。
第一の殺人の時にジャニー博士に変装するために使用されたズックのズボンと靴が病院の電話ボックスで発見され、この靴が謎を解く重要な手掛かりとなるため、タイトルにそれが反映されています。
例によって「読者への挑戦」ページが挿入されているのですが、真犯人は私には全然分かりませんでした。説明されれば納得も行きますけどね。動機は結局のところやはり遺産がらみなのですが、犯人と被害者たちの遺産を巡る関係が全く明らかではなく、2周くらいしないと辿り着けないような秘められた関係性のため、推理するにはその方面からでは無理があります。残された靴が示唆するものと第二の殺人における被害者の状態が組み合わされて初めて解ける謎(もちろん私には解けませんでしたが)。先が見えなかったので、推理小説として十分に楽しめたと思います。
このハヤカワSF・ミステリebookセレクションの版では、残念ながらまたしても誤字(「一目じゅう(←一日中)」や「違い先(←遠い先)」など)があり、その個所で少々イラつきました。また、脱字のせいだと思いますが、不自然な日本語もあり、翻訳本としての質は若干悪いですね。
オランダ靴の秘密
2001/07/01 15:15
パズルの見本
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:女王 - この投稿者のレビュー一覧を見る
病院で殺人権が起こり、数多い容疑者たちの証言と、数少ない物的証拠をもとに、最終的に犯人が論理的に導き出される。ミステリーのお手本のような出来だが、前半は、データを羅列しているだけなので、読んでいてしんどい。小説と言うよりはパズル。